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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 17:23:55

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「…とーしゃん…」

「……」

「とーしゃん。」

「……」

今俺は…子供達を前に、一つの決心をしていた。

もし。

もし…朝霧と知花が…一緒に暮らすなら。

俺は、もうこの子達には…会えない…

いや、会わない。

…胸は痛むが…仕方のない事だ。

選ぶのは知花だ。


あの時…知花の才能に嫉妬して、突き放したのは俺だ。

知花の気持ちが俺から離れていても、不思議じゃない。

…当たり前だ。


妊娠と出産を、俺に知らさなかったのも…

もう、俺とは無関係と知花が思っているからだろう。

…分かってる。

往生際が悪いって事。


だが…俺は、全力で…気持ちをぶつけたい。

それでも知花が俺を受け入れてくれないなら…諦めるしかない。

…それまでは…

せめて、それまでは。

俺のエゴに過ぎないが…

知花が決断するまでは、この子達との時間を…大事にしたい…


「とーしゃん…わやって。」

咲華が、俺の頬をピタピタとして言った。

「…ふっ…」

小さく笑うと、二人はパアッと明るい顔になって。

「とーしゃん!!しゅなば!!おしよ、ちゅくって!!」

二人で、俺の腕を引いた。

「え…えっ?」

「こらこら、二人とも。とーとは忙しいから、ばーばに作ってもらいなさい。」

ばーさんが声をかけると。

「しゃく、とーしゃんにちゅくってもやうー。」

咲華が…可愛すぎる笑顔で言った。

こ…これはもう…

何が何でも、リクエストされた何かを作らねば…

「何を作って欲しいんだ?」

二人に問いかけると。

「おしよー!!」

二人は、バンザイをして叫ぶ。

「…おしよ?」

「…お城ですよ。でも…」

「?」

「この間、さくらがものすごい物を作ってしまったので…」

「ものすごい物?」

「…写真見ますか?」

ばーさんは、茶箪笥の引き出しから一枚の写真を取り出して、俺に差し出した。

「…なんすか、これ。」

つい、そう言ってしまうと。

「…でしょう?裏の砂場で、これを作ったんです。」

ばーさんも、首をすくめてそう言った。

「…砂…ですか?」

「水を含ませたら、簡単に出来るって言うんです。」

「……」

写真の『お城』とやらは…

「…どこのお城ですか?」

「姫路城だそうですよ。図書館で写真を見て、気に入ったから…と。」

「……」

子供達が喜ぶ『城』は、何となく…洋風をイメージしていた。

それにしても…こんなにクオリティの高い物…

さくらさん、いったい何者だ?


「とーしゃん、おしよー。」

「お…おう…」

「千里さん…無理しないで下さいね…」

「……」


そして、俺は子供達と砂場で…

「…どうだ。」

「……」

「……」

「……」

……子供達とばーさんを…無言にさせた。

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