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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 15:05:24

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「めちゃくちゃ可愛いねん。あの子らに会うたんびに、千里がこの存在を知らんて…って、悶々として…」

朝霧さんは、まだ顔を上げない。

「確かにな?知花と千里は離婚して終わったかもしれん。せやけど、子供は…な?」

「……」

俺は静かに椅子に座った。

「知花がナッキーの娘やった、って聞いて…21年もそれを知らんままでおったって聞いて…色んな事情があったにせよ、なんちゅーか…ホンマ、ナッキーが不憫に思えてな…」

「…そうですね。」

「せやから…俺も決心して…おまえに話す事にした。ホンマ、黙ってて悪かった。」

そう言って、朝霧さんはより深く頭を下げる。

俺は…無言で財布から写真を出すと。

「…朝霧さん、これ。」

それを、朝霧さんの目の前に差し出した。

「…ん?………えっ!?」

俺が、華音と咲華を抱えてる写真を見て、朝霧さんは写真と俺を交互に見た。

「えっ?ええっ?なん…なんで?」

「…桐生院家の皆さんが、会わせてくれました。」

「……」

朝霧さんは口を開けて写真を見入って…

「…はあ…はー…えかったなあ…えかったな、千里。」

笑顔になった。

「でも、あいつは知らないんです。俺が…子供達に会ってる事。」

「え!?」

「…だから、どうしても…成功して迎えに行きたいんです。」

「……」

「ダシに使ったみたいで、すいません。」

今度は俺が頭を下げた。


どうしても成功したい。

成功して…知花を取り戻したい。

確かに…その想いが強くて…俺はバンドを組むなら、もうこのメンバーしかいないと決めた。

ま…一生やっていけるバンドを、とも思った時、その顔しか浮かばなかったんだから仕方ない。


「…もう一つ、謝らなあかん事が。」

「なんすか。」

朝霧さんは、まだ…手元の写真を眺めてたが…

ふいに、財布から一枚、写真を取り出した。

「…俺にとっても孫みたいに思えて、持ち歩いてもうてた。」

苦笑いしながら差し出された写真は、華音と咲華が俺と会う随分前の物。

「これ、何の写真ですか?」

笑いながら問いかける。

二人は口元に何かを当てられて、何とも複雑な顔。

いつも笑顔の二人には珍しい表情で、俺はマジマジとそれを見入った。

桐生院家にもなかった写真だな…


「…向こうで、お食い初め式やったんやて。」

「お食い初め式?」

「生後百日の祝いみたいなもんやな。」

「へえ…」

どんな表情をしていても、華音と咲華は可愛い。

俺も相当な親ばかだな…なんて笑うと…

「…俺も、こないだ聞いた話なんやけど…」

「はい。」

「…向こうで、光史と知花、一緒に暮らしてたらしいんや。」

「……」

つい…瞬きが増えて…そして、顔を上げるタイミングを逃した。

そのまま写真を見入ったフリをしながら…頭の中に、知花と朝霧の歩く姿を思い浮かべた。

「聖子が寮生やったいうのもあんねんけど、光史が暮らしてたアパートが一番治安がえかったのと、あれで…光史は面倒見のええ奴でな。」

「……分かります。」

かろうじて…震えずに答えられた。

が…俺は…動揺している。

朝霧は、知花の事が好きだ。

どこかで、そう気付いてたクセに…

実際、一緒に暮らしてたと聞くと…


「…付き合ってるんですか?」

写真に視線を落としたまま問いかけると。

「…それはない思うけど…光史の奴、もうすぐうちを出て一人暮らし始める言いよってん。」

「……」

「それが、一人暮らしなんか…知花が一緒なんかは…聞けへんかった。」


俺はどこかで…

知花は、俺をまだ好きでいてくれる…と、勝手に思っていたのだと思う。

…バカだな。


「…色々、抱えさせてしまってすいませんでした。」

そう言いながら写真を返すと、朝霧さんは。

「俺にとっては、千里も知花も、我が子みたいなもんや。」

写真を受け取りながら、真顔で。

「みんなが…幸せんなってくれるのが一番や思う。」

そう言って…目を伏せた。


…誰もが幸せに…なんて、夢の話かもしれない。

だが…

俺は…


やるしかないんだ。

これから先、俺が…ずっと歌い続けるためにも…



知花が…必要なんだ。

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