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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 13:10:57

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「…ごめんなさい…パパ…ごめん…」

目の前の瞳は、何度もそう言って…泣きじゃくった。

あれだけ落ち着いていた周子が…また…俺を見て暴れるようになった。

原因は…

「…知花ちゃんと…ランチに行ったの…」

瞳は…知花が腹違いの妹だとは、周子に話していない。

だが…知花の母親の名前が誰もが知っている花の名前というのが、知花の名前の由来だと知り…

そのエピソードに、感動した、と話したらしい。

そして、自分の名前の由来は、何なのか。と…周子に聞いた。

すると周子は…

「…誰もが知ってる花の名前…って…さくら…?」

瞬きもせず…瞳を見て。

「え?ママすごい。よく分かったわね。」

そう言った瞳に…

「…知花って…瞳の結婚式で…」

「そう。歌ってくれた子よ?上手かったでしょ?」

「…高音のファが…夏希に似てたわ…」

「……え?」

「…夏希と…あの子の…娘なの?」

「マ…ママ……」

「答えなさい!!あの子は…夏希の子供を産んだの!?」

それから…周子は、ずっと…さくらを殺してやる。と叫び続けて…

俺が憎い、と。


「あたし…バカだった…」

「…大丈夫だ。」

涙の止まらない瞳の頭を抱き寄せて、目を閉じる。

…大丈夫だ。

自分にも…言い聞かせる。


これは…俺への罰なのか?

みんなに幸せになって欲しいと願いながら…

さくらへの想いを断ち切れず、さくらのそばに居れるなら…と、院長の言った『自分なりの愛の形』を選ぼうとした。

…あんなに…穏やかに笑えるようになっていた周子が…

誰かを殺してやりたいと叫ぶほどだなんて…


「…圭司に迎えに来てもらうか?」

小声で問いかけると。

「…圭司には…言わないで…」

瞳は、涙声で答えた。

「…なぜ。」

「今は…F'sに…集中…さ…させてあげたい…から…」

「……」

ギュッ…と、瞳の肩を抱きしめた。


元はと言えば…全て…

全て俺が…


「高原さん。」

暗闇に吸い込まれそうな気持ちになった瞬間、声をかけられて振り向くと…院長がいた。

「…はい。」

「誰も、悪くないですよ。」

「……」

「周子さんは、今やっと…自分に正直になられてるんだと思います。」

院長の言葉に、瞳は顔を上げて。

「ママは、あんなに酷い事言う人じゃないです!!」

大きな声でそう言った。

「そうだね。きっと、そうだと思うよ。でも、周子さんは小さな頃からずっと、寂しいのに誰にも本音を言えない強がってしまう部分があった。」

「……」

「周子さんは、今、心の中に溜め込んでいた物を、吐き出しているだけだから…大丈夫。受け止めるのは辛いかもしれないけど…全部、吐き出させてあげよう。」

「…ママ…」

瞳は…ショックに違いない…

吐き出す事が、周子のためになるとしても…

さくらを殺してやるという言葉が…周子の口から吐き出されるなんて…

…俺にも、耐えられない。

「こういう時こそ…ご家族の力が必要です。」

「……」

「お辛いとは思いますが…周子さんの心の闇を、全て吐き出させてあげましょう。」

「…分かりました。」

俺は瞳の頭を抱き寄せたまま、院長に頭を下げた。


…周子の心の闇…

それは…

俺が創りだしたものだ…。



すまない…周子…。

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