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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 10:47:01

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「お忙しいのに、呼びつけて申し訳ない。」

今度は…桐生院貴司の会社に呼び出された。

…最初はうちに来たいと言われた。

千里が祖父の家に戻ってすぐ、俺はマンションに引っ越した。

さくらと暮らしていたあの家は…売った。

もう、俺には必要ない。

来訪を断ると、大事な要件だからとしつこく言われ…

…仕方なく。


「先日の写真です。」

「写真?」

ソファーに座ってすぐ、写真を差し出された。

正直、こいつと親しくはなりたくないが…孫たちは可愛い。

…孫…そう認めていいものかどうか…

俺の中で、葛藤はある。

ずっと。

…知花の事もだ。


娘として愛していると思う反面、さくらへの気持ちを断ち切るためには…

知花の事も、必要以上に娘と思わない方がいいんじゃないか?

…だいたい、知花は…

この、桐生院貴司に…ずっと、育てられてきたんだ。

今更俺が父親を名乗らなくても…いい。

なのに…

知花の事も、華音と咲華の事も…

それを弱味に、つけこまれるのは嫌だと思いつつも…

あの、心から俺を癒してくれた笑顔と触れ合いを、なくしたくないとも思ってしまう。

…結局、俺は弱い男だ。


テーブルに置かれた封筒を手にして、中から写真を取り出す。

そこには、俺の背中に乗っている二人や…一緒に昼飯を食っている所。

広縁で肩車をしている写真があった。

「…いつの間に撮った?」

「あの子達に夢中で気付きませんでしたか?」

「……」

…そう言われると、そういう事になる。

俺が目を細めたまま写真を見入っていると。

「高原さん。」

桐生院貴司は…指を組んで前のめりになって。

「実は、私は…」

少し、深刻な声で言った。

「さくらと結婚はしましたが、一度もさくらを抱いた事がありません。」

「…………は?」

眉間にしわを寄せて、桐生院貴司の顔を見た。

「これからもないでしょう。」

「……そうだとして、俺に何か関係あるのか?」

そんな告白をされても、おまえらは夫婦だろうが。

心の中で毒気づきながら、俺は溜息をついた。

だが…どこかで…

どこかで、今俺は…ホッとしたのも確かだ。


「一つ、聞きたい事があります。」

「…なんだ。」

「さくらが、危険な組織と関係していると…」

「……」

「ご存知なんですね?」

二階堂翔の言葉を思い出す。

さくらは…一人でテロリスト集団を…


「…いや、俺は知らない。」

言葉に詰まった時点でアウトだと思ったが、あえてそう言った。

だが、桐生院貴司は。

「あなたは…素直な人だ。ますます好感が持てます。」

そう言って、小さく笑った。

…気に入らない


「さくらは、その事を覚えているのですか?」

「…色々な記憶を失くしたままだ。何を思い出して、何を忘れているか等…俺には分からない。」

「…そうですか。」

「なぜ、そんな事を?」

俺が怪訝そうな顔をすると。

「…すいません。あなたなら、さくらの全てを知っておられると思い…」

桐生院貴司は、姿勢を正して頭を下げた。


…いったい、なんなんだ。

何のために…こいつは…俺に深入りしようとする?

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