ブログランキング16

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3338
  • 読者 726
  • 昨日のアクセス数 14052

テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 10:10:27

  • 82
  • 0

「若いなー。」

走り去る背中を見て、つぶやいた。

思いがけず…知花の母親に会った。

高原さんが一途に愛した人と聞いて…

何となく、儚げな女性をイメージしてたが…

元気ハツラツな人だった。


「ところで、この続きが見あたんないんだけどさ、この曲って全部書いてんのかよ。」

「え。」

廊下の真ん中で、知花と譜面を眺める。

「あっれー…おかしいなあ…」

うつむいた知花の髪の毛から…いい香りがした。

「…知花。」

「んー?」

「この間の返事、いつ聞ける?」

「……」

俺の問いかけに、知花は一度顔を上げたが…

「…ね。」

「ん?」

「あたし…光史のこと、好きよ。」

もう一度、うつむいた。

「……」

「アメリカで一緒に暮らしたのだって…誰だってよかったわけじゃない。みんなのことは、同じぐらいに大切だし…大好きだけど、光史は…また少し離れたところで安心できる心地よさを持ってて…」

「…それは、男しか好きにならないから?」

「そうじゃないよ。あたしも、それが何かわかんなかった。でも…」

「……」

「光史は、どうして…あたしと一緒に暮らしたいの?」

「愚問だな。好きだからだよ。」

「嘘。」

「どうして。」

「千里を好きなんでしょ?」

「……」

足元が…ぐらついた気がした。

知花には…

知花にだけは…気付かれたくなかったのに…


「光史は、あたしを見つめてても…あたしを見てなかったよ。」

「…俺は…」

落ち着け。

冷静になれ…

そう言い聞かせようとしても…

俺の手元は、震えてしまって。

手にしていた譜面を床にちりばめてしまった。


「…無理しないで、正直に言って。」

知花は、その譜面を拾い集める。

「…憧れてるだけさ…」

「……」

「俺は、今まで女に本気になったことがなくて…だけど、知花と一緒にいると新しい自分が見えてきたっていうか…」

何とか…言い繕いながら…

俺もしゃがみこんで譜面を拾う。


「あたし、どうしたらいいの?」

「……」

「千里のこと、忘れられない…かと言って、前にも進めないで…」

忘れられない…

やっぱり…忘れられなかったのか…

知花からこの言葉が出た時…

一つ、気付いた事があった。

「光史なら…こんなあたしをどうにかしてくれるの?」

「知花…」

譜面を置いて、知花の頭を抱き寄せる。

「俺が、忘れさせてやるから…」

そう言って…唇を合わせた。

俺は…

…知花が好きだ。

神さんに近付けると思って…なんて、違う。

知花が…好きで、そばにいたいから…

神さんを忘れられない知花の気持ちを知りながら…

どんな形ででも…

そばにいたい。

そう思うほど…

俺は…


知花が好きだ。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

  1. 1

    MyhoneyCin...

    8時間前

    ひみつの恋。

    まきちむ

    記事数 18241 / 読者数 4109

  2. 2

    When love ...

    22時間前

    リノ

    記事数 693 / 読者数 1348

  1. 3

  2. 4

関連するブログ記事

  1. 8th 68

    05/30

    「…母さん?」事務所の廊下。母さんに似た後ろ姿を発見...

  2. 8th 70

    05/30

    「正直に言うよ。」二人きりのプライベートルーム。光史...

  1. 沈黙が流れていたお客さんもまばらで遠くでガヤ...

  2. ゼラニウムの香りの中ゆったりと音楽がながれ窓越しの春風を...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

11/25 編集部Pick up!!

  1. 妻を家政婦扱いする夫に呆れた
  2. 生後2週間 夫婦で寝顔を見てたら
  3. 新築お披露目で義両親にイライラ

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3