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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 08:23:12

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「…母さん?」

「え…あっ、あー、知花ー。」

しまった‼︎

こんなに早く見つかるなんてー!!


「何してんの?こんな時間に、こんなところで。」

知花はキョトンとした顔で、あたしを見る。

そうよね、そうよね…あたしがいちゃ、おかしい場所だもん!!


「あ、の…なっちゃんにね。ちょっと…」

つい…なっちゃんの名前が出てしまった。

だって、神君…千里さんの名前なんて、もっと言えないし!!

「ふうん…」

知花は首を傾げながら、あたしをジロジロ見てる。

だよね…怪しいよね…

どうするかな、あたし…

「高原さんなら、一番上の階だよ?」

怪しまれてると思ったけど…

知花は、素直ないい子だった。

「あ…そう。」

「ついて行こうか?」

「ううん。えーと…ちょっと見学とか…」

「えー?転んだりしないでよ。」

「知花じゃないもん。」

「何それ。あたし転ばないよ?」

「あたしだって。」

あたし達が、そんなどうでもいい会話をしてると…

「知花…と。」

何だか爽やかな男前がやって来て。

「あ、母さんなの。」

知花がそう紹介してくれた。

…母さんなの。

じーん。

慣れないけど…嬉しい‼︎


「あ、はじめまして。ドラムたたいてます。朝霧です。」

朝霧…?

「知花がいつもお世話になります。朝霧さんて……マノンさんの?」

「息子です。」

えー!!

マノンさんの息子さんて…

突然、あたしの頭の中に、色んな光景が…グルグルと回った。

「あたしね、一度だけお会いしたことがあるのよ。あなたが、こーんなにちっちゃい時…」

そう…

あの時…あなたは、雑貨屋で…何か…車の何かに夢中になってて…

その棚の向こう側に…

瞳ちゃんを連れた周子さんがいて…

あたしは、その光景を見たかったけど…

ううん…知りたくなかった…


「………あたし、帰るね。」

何だか頭の中がざわついて、帰りたくなった。

帰って…双子ちゃん達の部屋で寝よう…

うん…そうしよう…

「え?高原さんに会いに来たんじゃなかったの?」

「うーん…面倒になっちゃった。じゃあねー。」

手をヒラヒラさせながら、その場を走り去る。

ミッションは終えたし…もう…なっちゃんの色々を懐かしむのは…やめよう…

だって…

何だか…色々思い出すたびに…

胸が、ざわつく。

……嫌だ。


「うわっ!!」

「きゃ!!」

廊下を走ってると、突き当りで人とぶつかった。

「あいたた…」

あたしは立ったままだけど、相手は転んでる。

あたし、どれだけ強靭!?


「ご…ごめんなさい!!大丈夫ですか!?」

あたしが床に膝をついて、その人の顔を覗き込むと…

「……」

「…え?」

相手の人…なぜか、あたしの顔をマジマジと見てる…

「な…何かな…」

打ち所が悪かったとか…

「…えっ?」

突然。

あたし…その人に、抱きしめられた!!

「えっ…ええっ!?ちょ…ちょちょ…」

「すいません…」

「…は…はい?」

「…何か…喋って下さい…」

「…は?」

「声を…」

「……」

「声を、聞かせて下さい…」

その人は…いくつぐらいだろう?

知花と…同じぐらい?

天パで、くりんとした髪の毛。

えっと…ええっと…

「……まこ…ちゃん…?」

あたしが、そう言うと。

「…僕を、覚えてるんですか?」

まこちゃんは、驚いた顔で…あたしを見た。

「…あなたも、あたしを…覚えてるの?」

くりくりの…丸い目。

ああ…あたし…見た事ある。

この、天使みたいな顔の男の子に…会った事ある…

「ずっと…聞きたかった声だと思って…」

「え?」

「小さい頃…すごく不安だった時に…僕を助けてくれた人の声です。」

「……」

「ずっと、ずっと会いたいって思ってました。」

そう言われて…まこちゃんは、またあたしをハグした。

あたし…

まこちゃんを助けた…?

よく…覚えてない…

でも…


「あの…あのね…?」

「はい…」

「あたし…事故に遭って…昔の事、あまり…覚えてなくて…」

あたしがそう言うと、まこちゃんは腕を離して、あたしの目を見た。

「だけど…なんだろ…『まこちゃん』って名前…憶えてる。」

「…父は、島沢尚斗といって、Deep Redっていうバンドのキーボーディストです。」

ナオトさん…

Deep Redのメンバーでもあり…

なっちゃんの…親友…だよね…

「…ナオトさんの、息子さん…」

「はい。」

「…あたしこそ…助けてもらったんだよ…きっと…」

「…え?」

知花を…死産したって言われて…

同じ歳ぐらいの子供を見るのは、辛かった…

だけど、まこちゃんは…

いつも、あたしを癒してくれてた気がする。

…そうだ…

あたしの事、しゃくりゃちゃんって…ノン君に呼ばれて懐かしかったのは…

まこちゃんが、そう呼んでたからだ…

「…大きくなったんだね…」

まこちゃんの腕を、擦りながら言うと。

「僕もバンドで、キーボード弾いてます。」

まこちゃんは…今も天使のような笑顔。

「そうなの?すごい…聞いてみたいな。なんてバンド?」

「SHE'S-HE'Sっていうバンドです。」

「…え?」

「え?」

「…ボーカルの…知花の母です…」

「…え?」

「え?」

あたし達は、何度も『え?』を繰り返して…

そして…笑い合った。

「じゃあ、いつでも会えるんだー。嬉しいなー。」

まこちゃんが、そう言ってくれて…何だかすごく嬉しくなった。

「でも…ちゃんと思い出せなくてごめんね。」

「いいんです。そっか…僕、高等部の時、知花の声聞いたら眠くなっちゃってて…」

「えー、なんで?」

「親子だからなのかな。声、そっくりとまでは言わないけど、どこか似てるかも。」

「…知花の声は…」

ファ…が…なっちゃんに似てる。

そう思いながら、小さく笑った。


あー…

なんか、元気出た。

まこちゃん。

ありがとう!!

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