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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 23:01:50

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「うわー…」

タクシーがそのビルの真ん前で停まって。

あたしは、それを見上げて声を上げた。

このビル…全部!?

全部が、ビートランドなの!?

なっちゃん…すごい!!


ロビーに入って…さすがにインフォメーションには誰もいない時間帯。

だとするとー…あたし、ここから中には入れないんじゃ…?


案の定、エスカレーターの前に警備員さん。

「入館許可証がないと入れません。」

「…ですよね~…」

うーん。

「忘れ物を届けたいんですけど…呼び出しとかは…」

「後日インフォメーションにてお預かりいたします。」

「……」

そっか。

怪しいよね、あたし。

嘘ついて、有名人に会おうとしてるファンみたい?

うーん…知花を呼び出すわけにはいかないし…

「…あれ?」

「え?」

声がして振り返ると…

「…さくらちゃん…?」

「……」

あたしの名前、呼んだ…って事は…

知ってる…人…

えっと…

そうだ…この人…

「…あー…事故で…記憶障害とか…やったっけ?」

この…関西弁。

「…マノンさん…?」

「おー!!当たり!!」

マノンさんは、嬉しそうな顔で、あたしの手を握った。

「どないしたん?こないな時間に。」

「あ…あー…えーと…」

「…ナッキー?」

「あ、いえ…それは…」

「…聞いた。色々あったんやってな。」

「……」

なっちゃん…

みんなに…話したんだ…


そりゃ、そうだよね…

知花が所属してるから、話さなきゃ難しくなっちゃうよね。

ましてや…仲間だもん。


「ま…けど、元気になってえかったな。」

「…ありがとうございます。」

あたしはマノンさんに深々とお辞儀して…

帰ろう。って、思ったんだけど…

「上、行ってみる?知花、歌うてるんやないかな。」

マノンさんから、夢のような提案。

「あ…こっそり来たから見つかりたくはないけど…中には入ってみたいです。」

あたしが首をすくめてそう言うと。

「ほな、俺、知り合いやから。」

マノンさんが警備員さんにそう言うと、警備員さんはあたしに深くお辞儀した。

あたしもペコペコと頭を下げながらエスカレーターに乗って…

「…あたし、皆さんに…あわせる顔なんてないんですけど…」

マノンさんの背中に、小さく言った。

「ん?何で?」

「…Deep Red、まだまだやれたのに…彼が活動休止を提案したのって…たぶんあたしのせいだし…」

二階のエレベーターホールの前まで、マノンさんは無言だったけど…

「…ぶはっ…」

急に噴き出した。

「…え?」

「いや、ごめん…そっか…さくらちゃん、寝たきりやったんやもんな…そら、あの頃のまんま時間が止まるわな…」

マノンさんはそう言って髪の毛をかきあげて。

「確かに…ナッキーがあれを言うた時は、俺ら…ショック言うか…嘘やろ!?て思うたな。」

笑いながら…そう言った。

「…ですよね…」

「けど、あれがあって、ワールドツアーも成功したし…こうしてナッキーが創った事務所でみんなで色んな事をして、新しいもん作って…」

「……」

「俺らは、解散してへんよ。俺とナオトは、新しくバンド組むけど…Deep Redはずっと、永遠に熱のあるまんまやし…ナッキーかて、終わったとは思うてへんもん。」

そう言ったマノンさんは…目をキラキラさせてて。

あたしが眠ってる間に、みんなは歳を取ったけど…

マノンさんの目は…あの頃と変わらないんだろうなって思った。

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