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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 20:06:41

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「お待ちしていました。」

…どういうわけか…

呼び出された。

…桐生院家に。


噂には聞いていたが、予想以上の大屋敷だ。

いつだったか…圭司が言っていた。

千里が桐生院の庭が好きで、知花が一緒じゃなくても通って来ていたらしい…と。

あいつに、こういった庭園や日本家屋の良さが分かるのは不思議な気もするが、見た目で言うと俺もそう思われる方だ。

確かに…これは落ち着く。

手入れの行き届いた芝生。

並ぶ植樹の美しさ。

そして、少し高台にそびえ立つ…屋敷。


『どうしても…来ていただきたいのです。』

桐生院貴司から、そう電話がかかったのは…一昨日だった。

さくらには外出させるから、うちに来てほしい…と。


話しなら電話で聞くと言ったが、あいつは譲らなかった。

意味が分からない。

なぜ…俺を自宅に呼ぶ?


「どうぞ。」

目の前に出されたお茶は、これまた…上品な香りのする物だった。

桐生院貴司と、その母親が…俺の前に座った。


「…で?何の用でしょう。」

できれば…さくらには会いたくない。

さくらの幸せを願う反面…まだ断ち切れずにいる気持ちが、疼く。

事務所で知花を見かけると…愛しさで優しい気持ちになれるが…

知花へのそれと、さくらへの気持ちは…別だ。


「高原さん。」

突然、母親が三つ指を立てて。

「さくらが…お世話になりました。」

俺に…深々と頭を下げた。

「…やめて下さい。」

「いいえ。あの子が…ずっと寝た切りだったと聞いて…あなたの愛の深さに心打たれました。」

「……」

「長い間…ずっとさくらに寄り添って下さって…なのに…こんな形で連れ戻してしまって…」

「……」

そんな事を言われても…な。

それが、正直な気持ちだった。

そんな事を言われても、さくらは俺の元には戻って来ないし。

俺も、今更…さくらを返せなんて…言えない。


どうして、放っておいてくれないんだ。


「高原さん。」

今度は…桐生院貴司が、同じように頭を下げて。

「どうか…これからも、私達とお付き合い宜しくお願いします。」

「…………は?」

今、こいつ…なんて言った?

「さくらの愛した人です。そして…知花の実の父親であるあなたと…」

「……」

「私は、もっと親しくなりたい。」

「……何言ってんだ。」

つい、口調がきつくなった。

こいつ、頭おかしいんじゃないのか?

普通…俺なんかと関わりたくないのが本当だろ?

「おかしいだろ。」

「おかしいですか?」

「俺は…」

「……」

無関係だ。

そう…言いたいのに…


どうしても…知花とは、事務所で会う。

そして、以前とは違う…所属アーティストとしてではなく、自分の娘として大事に想っている俺がいる。

それは否定しない。

だが…

さくらとは…もう関係ない。

無関係だ。

そうだ。

帰ろう。

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