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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 18:14:12

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「いよいよ始動だな。」

会議室。

高原さんが、テーブルに肘をついて言った。

俺が帰国して…初めての、高原さんを交えてのバンドミーティング。


俺が渡米している間に、SAYSはギターボーカルの里中がソロになりたいと発言して、事実上解散となった。

浅香京介を引き抜きたいと思ってた俺にとっては、好都合だった。

揉め事を起こさずに済んだ。


それで…朝霧さんから新バンドについて説明された浅香京介は。

今、カチコチになって…俺の斜め前に座っている。


「で、バンド名はどうするんだ?」

「は?あれちゃうのん?」

高原さんの問いかけに、朝霧さんがボールペンをプラプラさせながら。

「毎回封筒に書いてたやんな。」

みんなに同意を求めた。

「え?『F's』か?」

「ナッキーが書いたんやろ?」

「おまえが『F』だけ書いてたから、他の資料と混ざると思って『's』を付け足しただけだ。」

「俺は朝霧さんがそう決めたのかと。」

俺が朝霧さんにそう言うと。

「ちゃうわ。みんなで案出し合うた時に、みんな『F』から始まるのんばっかやったから、とりあえず頭文字だけ書いといただけやん。」

朝霧さんは首をすくめた。


アメリカ滞在中、朝霧さんから電話があって。

『千里、好きな言葉とか、英単語あるか?』

と、聞かれた。

「…好きな言葉か英単語?」

『バンド名、全然やで。』


渡米前に、バンド名をどうするかと聞かれて…

「ああ…何かカッコいいの考えて下さいよ。」

と、お願いした。


『臼井に言うたら、『豪華絢爛』とか言うし。漢字の名前って頭にあったか?』

「……」

正直…豪華絢爛はないよな。

「ゴージャスって事ですか?」

面子的には、それでもいいが…

『ゴージャスやとお姉ちゃんら想像するやん?せやから、漢字四文字がええ言うねん。』

「…豪華絢爛でもお姉ちゃん想像しますけど…」

『それぞれ何か好きな英単語出してみて、そっから関連付けしてみるんもええかな思うてん。』

「なるほど…」

誘っておいて、丸投げもないよな。

自分でした事とは言え、少し反省して…真面目に考えた。

「……」

俺はポケットから、財布を取り出して…そこから写真を手にした。

華音と咲華…そして、知花の三人が写っている物だ。

三人の笑顔は…今の俺の勇気と力になっている。

何としても…俺は成功してみせる。

…しなくちゃいけないんだ。


「結局、臼井は『Face』て言うた。」

朝霧さんが、封筒の『F's』を指でトントンとしながら言った。

「思い出のバンドですからね…」

臼井さんが…感慨深そうに言った。

Faceは…第二のDeep Redと呼ばれるほどの実力を持っていた。

活動が軌道に乗って、まだまだこれからを期待されたバンドだったのに。

ボーカルの丹野廉が、銃弾に散った。

臼井さんは、あれ以来…バンドを組んでいない。


アズは『Flag』だった。

確か、瞳のファーストアルバムのタイトルだ。

色々意味を込めてつけられたそのタイトルを、アズはとても気に入っている。


「好きな英単語って言われたら、そりゃあ『Family』だよな。」

ナオトさんは、奥さんと息子たち…そして、バンドメンバー、事務所のみんな。

全てが家族だと言う。

確かに、高原さんを長として…ビートランドは大家族のようなもんだ。


「俺は『Forever』やな。永遠て、そうそうない言われるけど、俺らの熱みたいなもんは絶対やん?」

そう言いながら、朝霧さんはナオトさんとハイタッチをした。

…いつ見ても、Deep Redのメンバーの…こういう場面は胸に来る。

TOYSに足りなかったのは…こういう熱と信頼関係だ。

朝霧さんとナオトさんから…それをしっかり学びたい。

「京介はクソ真面目に考えて来たよな。」

ナオトさんに突っこまれた京介は。

「そっ…それはっ…そりゃあ…必死だったんで…」

背筋を伸ばして、小刻みに頷いた。

京介が選んで来たのは『Focus To Win』

成功するために焦点を絞れ

「…ふっ。」

小さく笑ったのは、高原さんだった。

「ああ、悪い。京介、不安なのは分かるが、おまえには実力も伸びしろもある。」

「…ありますか?」

「千里がずっと狙ってたんだ。間違いない。」

「……」

京介が無言で俺を見る。

実は、まだ人見知りされてるのか…あまり話した事がない。

「で、千里は何を選んだんだ?」

高原さんが指を組んで俺を見る。

「…めちゃくちゃ個人的な気持ちで選びました。」

「個人的?」

知花と…華音と咲華の写真だけじゃない。

桐生院家の家族写真を見ていると、いつも花を想像する。

そこに花は写っていなくても…

いつも…笑顔が咲いているんだ。


「…『Flower』です。」

「……」

たぶん…子供達の事を知ってる高原さんと、朝霧さん…そしてナオトさんが少し間を空けてアイコンタクトを取った。

いや、バレバレですよ。


「昔の神がそんなの言ったら、ちょっとゾゾッとしてたけど…今はなんか似合うね。」

アズがそう言って、足を組みながら笑うと。

「似合うとは思わねーけど…まあ…ギャップとして悪くはねえな…」

京介がボソッとつぶやいた。


色んな想いのある…『F』がある。

俺は…

「…『F's』でいきましょう。」

封筒の、高原さんの文字を見て言う。

「あ?おいおい…世界に出て行くバンドになるのに、そんなふざけた名前やめろ。」

高原さんは眉間にしわを寄せたが。

「あっはっは。ええやんな。最後にナッキーがまとめてくれた。みたいで、丸くおさまるで?」

「同感。」

朝霧さんとナオトさんは笑顔で納得。

「誰も『F』じゃない所がまたねー。」

アズも笑う。

京介は、高原さんが付けた名前に文句なんて言えるわけがない。


「じゃ、決定って事で。」

まさかの『F's』に、高原さんは頭を抱えたが。

「よっしゃ。F'sで深紫も深紅も超えるで。」

朝霧さんの言葉に。

「…やってもらおうじゃねーか。」

久しぶりに…力強い口調を聞かせてくれた。

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