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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 17:17:29

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「ただーいまー。」

仕方ないけど、寝たきりだったし歳を取ったし…で、体力が落ちた。

あたし、軽く走って来ようと思って、前にお嫁に来てた時もよく知らなかった、近所の公園まで走りに行ってみた。

いい汗かいたし、何か美味しい物でも飲もうかなー。って、キッチンに行こうと…

「……」

あたし、目をゴシゴシ。

「……」

桐生院は、知花が双子ちゃんを産んだことで、増築されてる。

だけど…

元々のザ・お屋敷。は、ちゃんと残ってる。

あたしは、知花達のために増築された裏側から帰って来たんだけど…

誓(家族だし、呼び捨てでいっかぁ)が言うには、友達に寺みたいって言われた中庭の向こうに、中の間があって…

そこに…ごろんと横になってる…双子ちゃんと…

…あれ、誰。


あたし、眉間にしわを寄せて、中の間に忍び足で…


ガシッ。

「……」

腕を掴まれて振り向くと、お義母さんが口の前で人差し指を立てて、あたしをキッチンに引っ張った。

義母さん、今、足音しなかったよ?

忍者?


「な…何?あれ…誰?」

「……」

あたしの質問に、お義母さんは額に手を当ててる。

「さくら…今日は病院に行ってくるって出かけたのでは?」

「え?そんな事言った?」

身体が鈍ってるから、調べてくる…って…

病院って感じ?

「…貴司に、知花が結婚して、離婚した事は聞きましたね?」

「…うん。」

「あれは、その相手の方です。」

「…神…千里君?」

「そうです。」

「…彼がうちに来てるって、知花は…?」

「知りません。」

「……」

あたし、ちょっとポカンとした。

だって…そんな大変なミッション…

「知花には時間が要るんです。でも…千里さんが立ち直って知花を迎えに来るには、この方法しかなかった。」

「……」

何だか…

何だか、よく分かんないけど。

「…これ、貴司さん知ってる?」

「知ってますよ。知花以外は。」

「え?誓も麗も?」

「ええ。」

「……」

…なんだ。

チーム桐生院。

すごい。


あたし、知花が…相手の人に子供達の存在を伝えてないって貴司さんに聞いて…

あたしと同じ事を?って…ちょっと苦しくなった。

…だけど…そうだよね。

色んな想いって…存在するから…


もっと、みんなが単純に、好き、嫌い、良い、悪い、って…それ『だけ』なら、簡単なのかもしれないけど…

複雑だから、深くなるのかもしれない。


「寝顔見て来ていい?」

あたしがそう言うと、お義母さんは。

「起こしたいんでしょう?」

「ふふっ。バレたか。」

「もう、千里さん帰る時間が近いから、起こしてさしあげて。」

「はーい。」

「…まったく…知花にもう一人妹が出来たみたいだよ…」

お義母さんの小さなボヤキを聞きながら、あたしは中の間に。

忍び足で近付くと…すでに起きて天井を見上げてるサクちゃんと目が合った。

「あ。」

「……」

なぜか、いまだに双子ちゃんはあたしに懐いてくれなくて。

当然…

「あーん!!」

サクちゃんが、大声で泣き始めて。

「わっ…」

神君が飛び起きた。

「あーんはこっちよ~。なんで泣いちゃうかな~?」

あたしがサクちゃんに近付いて言うと。

「咲……え?」

飛び起きた神君はあたしを見て、キョトンとしてる。

「え?」

「…さくらさん?」

「はい…こんにちは…」

「こん……え?」

「…戻りました…」

「あーん!!」

「あ…ああ、よしよし…」

「ずるい。神君には懐いてる…」

あたしが唇を尖らせると。

「…高原さん…は?」

神君は…サクちゃんをあやしながら…あたしに言った。

「…幸せになれ…って。」

「……」

サクちゃんは神君の腕で泣き止んで。

その代わり…あたしが泣きたくなった。

…なっちゃん、あたしは…幸せだよ。

うん。

幸せ…。

でも…なっちゃんは?

どうしてる?

「……」

神君の前だと言うのに、ちょっと唇が震えてしまって。

眉間に力を入れると、余計…泣きたくないのに、涙が出そうになった。

すると…

「らめ。」

「……」

突然、神君の腕からサクちゃんが降りて。

「らーめ。」

あたしの肩に手を掛けて、膝に上がって、あたしの頬…ピタピタって…

「…こいつら、どういうわけか、人が泣くの嫌いみたいで。」

「…あたし、泣いてない…」

「泣きそうですよ。」

「……」

「らめっ。」

「……サクちゃん…」

あたしの膝に来てくれた。

あんなに、懐いてくれなかったのに。

「…これ…長年あっちに居たから…ホームシックなだけだから…」

あたしがそう言って、ポロポロ泣いちゃうと…

「…当然でしょう。17年暮らしてたんですから。」

神君はそう言って立ち上がって。

「俺、ばーさんと茶飲んでますから。」

出て行った。

「…らめよ?」

サクちゃんが…悲しそうな顔で、あたしを覗き込む。

「…ダメなの?でも…ちょっと…泣いちゃいたい…」

あたしがそう言うと、サクちゃんは…

「…しゃく、よちよち、しゅる。」

あたしの頭…撫でてくれた…

「…サクちゃん…ありがと…」

サクちゃんをゆっくり抱きしめて、泣きながら頭を撫でてもらってると…

「…しゃくりゃちゃん…よちよち…」

後ろから…いつの間にか起きたノン君が、あたしの背中を摩ってくれた。

…しゃくりゃちゃん…?

…なんだろ。

なんだか、懐かしいや。


懐いてくれなかった二人に、頭を撫でてもらって。

あたしは…心底癒されたし…幸せだなって思った。

だけど…

幸せを感じれば感じるほど…

なっちゃんへの罪悪感は…

膨らんでいくばかりだった…。

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