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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 16:16:42

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「…悪かった。ずっと…秘密にしたまま…」

「…違う…」

「え?」

「パパ…ずっと知らなかったの?その…娘の事…」

「……」

「ずっと愛してた人との娘なんて…絶対…パパ、愛しくてたまんないよね?」

「瞳…」

「だって、パパ…あたしの事、すごく大事にしてくれる。だったら、ずっと一途に愛して来た人との娘なら、どんなに愛情注げたか…あたしより、ずっとずっと…」

「瞳。」

俺は瞳の手を取って。

「おまえ…」

言いたい事は山ほどあるのに…

言葉に詰まった。


瞳は…なんて…

なんて、純粋なんだ…。

瞳がグレイスを妹と認めないと知ったあの日から、俺は…瞳は独占欲の強い娘だと…勝手に決め付けていたように思う。

だが…

俺の想いを知って泣くなんて…


「バカだね、瞳。」

ふいに、圭司が瞳の頭を撫でた。

「高原さんが、瞳よりずっと、って…あるわけないじゃん。」

「…圭司…」

「たぶんさ、そういう愛って、増えるんだよ。その子の事が分かって、高原さんがその子に愛情注いだとしたら、その分瞳にも同じぐらいの愛情が増えちゃうんだよ。」

「……」

瞳は鼻水をすすって圭司を見て。

「…あたしは、今まで一人占めして来たから…」

かすれる声で、そう言った。

「これからも、それでいいんじゃない?瞳、気付いてないの?瞳って、結構なファザコンなんだよ?」

「もうっ…誰がファザコンよ…」

「だって本当じゃん?ですよね、高原さん。」

圭司が、俺を見て笑う。

…結婚を許して良かった。

心から、そう思った。


「…瞳の、腹違いの妹は…」

圭司にハンカチを渡されて、涙を拭っている瞳に。

「…桐生院知花だ。」

そう言うと。

二人はさっきより、さらに口を開けて驚いて。

「知花ちゃん!?」

顔を見合わせて、同時にそう言ったかと思うと…

「あの子が!?あの子、あたしの妹なの!?」

瞳はテーブルに前のめりになって、俺に顔を近付けた。

「あ…ああ…」

「あたし…」

「……」

「あたし、あの子大好き!!」

「…えっ?」

その言葉に、今度は俺が驚いた。

「あたしが姉って知ってる?言った?彼女はこの事実を知ってるの?」

まくしたてるような瞳の早口に、俺は少し戸惑いながら頷いた。

「ランチに誘っていい!?新居にも誘っていい!?買い物にも誘っていい!?」

瞳は興奮冷めやらぬ状態で。

俺と圭司の顔を交互に見ながら、そう叫んだ。

「…いつから、知花の事をそんなに?」

俺がビールを一口飲んで問いかけると。

「…最初は、歌が上手過ぎて怖い存在だったけど…時々事務所で会うあの子は、何だかふわっとしてて、雰囲気が柔らかくて…」

「確かに。」

圭司が隣で笑う。

「式の後のガーデンパーティーでね、少し話したんだけど…あたしが料理が下手って圭司が暴露したら、知花ちゃん、あたしの事、何でも出来る人だって思ってたから、すごく親しみやすくなったって笑ってくれて。」

…二人の…

俺の娘たちの笑顔が…見えた気がした。

「あたしこそ、あの子の事、何でも出来る凄い子って思ってたんだけど…」

瞳が、クスクス笑う。

「天然だよね。」

圭司がそう言うと。

「圭司が言ってもいいぐらいの、天然よね。」

二人は、顔を見合わせて…楽しそうに笑った。

「隣に座ってた時、あたしのドレスの裾を、レースのハンカチだと思って手を拭いたりね…」

「あれに気付いた時の知花ちゃん、最高だったよね。」

「真っ赤になって、ごめんなさい!!って謝りながら、どこかに消えたと思ったら、クリーニング店のしみ抜きのチケット持って来たのよね…手拭いただけなのに。笑っちゃった。」

…そう言えば、すぐ知花は真っ赤になるんだよな…

ロクフェスでは、あんな大観衆の前で堂々と歌ってのけたのに。


「…周子と、籍を入れる。」

俺がそう言うと、瞳は一瞬息を飲んで。

「…パパ…あたしがお願いしたからって…」

笑顔を消した。

「違うんだ。」

「……」

「もう、断ち切らなきゃいけない。それに、周子には…俺と別れた後の記憶がないようだし…」

「パパ…」

「これで、全て上手くいけば…と思う。」

本当に。

全て…上手くいけば…


俺が、さくらなしでも…生きて行けると…

もっと、自分で納得できれば…


だが、今はまだ…


毎日、生きている気がしない。

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