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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 15:49:29

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「三人で食事って、久しぶりね。」

目の前の瞳は、幸せそうな笑顔。

圭司と結婚して…二人は俺のマンションを出た。

千里はアメリカに修行に行っていたから、荷物だけは残っていたが…

先日、『祖父の家に戻れることになりました』と報告して来た。

…周りは…上手く回り始めているんだな…


「今日は、話しがあるんだ。」

圭司と瞳と俺。

和食の店の座敷で三人。

ご馳走を食べた後で、切り出した。

「…何?」

瞳は圭司に注がれたビールを一口飲んで、俺を見た。

「…まず…謝るべき事なのかどうなのか…分からないが。」

「……」

「瞳。」

「…なあに?」

「…グレイスの事を、妹と認めるのは…今も嫌か?」

俺の質問に、瞳は少しだけ眉間にしわを寄せた。

「…あの子が、何?」

「自分に妹がいるという事を、認めるのは嫌なのかと聞いてる。」

「……」

圭司は俺と瞳を見比べて。

ゆっくりと、ビールを飲んだ。

「…昔ほど嫌だとは思ってないわ。あの子はあの子で…可哀想だって思うし…」

「…そうか。」

「何なの?グレイスを引き取るとか、そういう話?」

「いや…」

俺は姿勢を正して。

「隠し子だったわけじゃないが…俺に…瞳以外にも、娘がいた。」

瞳の目を見ながらそう言うと。

「……え?」

瞳と圭司が同時に口を開けた。

「え?え?ど…どういう事?パパ…ずっと好きだった人がいるって…」

「…彼女が、21年前に出産していた。」

「21年前…」

瞳と圭司は目を丸くして顔を見合わせて。

「…パパ…ずっと…知らなかったの?」

ポカンとしたまま、瞳がそう言った。

「…俺だけじゃない。彼女も知らなかった。」

「は?い…意味分かんないんだけど…」

「色んな理由で、死産と聞かされて、彼女は日本を発った。」

「……」

もはや、瞳から言葉は出なかった。

これだけの言葉で片付けられる話じゃない。

俺は今も…さくらに対して死産だったと告げた桐生院貴司に頭に来ているが…

…もとはと言えば、全て俺のせいだ。

腹を立てても、恨む資格はない。


「彼女は17年前事故に遭って、寝たきりの状態で…俺はずっと一緒に暮らしてたんだ。」

「……もう、驚き過ぎて…酔いが醒めたわ。」

瞳はそう言ってグラスを置くと。

テーブルに肘をついて指を組んだ。

「あたしと暮らさなかったのは、彼女と暮らしてたから?」

「それもあるが、寝たきりの彼女を誰にも見せたくなかったっていうのが大きい。」

「……」

「ナオト達にも…ずっと隠して来た。ようやく…一昨日話した。」

あれから…ナオト達は、やたらと会長室に顔を出す。

新しいバンドの準備をしろと言うのに。

…俺が寂しいと気遣って、やって来る。


「…彼女は、娘と再会して…その家に戻ったよ。」

「……」

俺がそう言った途端…

目の前で、少し強気な目になっていた瞳が…

「…瞳?」

ポロポロと、涙をこぼし始めた。

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