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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 14:12:36

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「一度…さくらがいなくなっただろ。」

コーヒーを配りながら、誰にともなく言うと。

「ナッキーが廃人になった時な。」

ゼブラが嫌味っぽく言った。

「あの時…さくらは…」

「……」

ゴクン。

誰かが一口コーヒーを飲んだが、その音が大きくて、つい…

「あははははは。」

声を上げて笑ってしまった。

「誰やねん。」

「おまえだろ。」

「俺、まだ飲んでねーし。」

「もったいぶらずに、早く話せよ。」

ふっ。

まったく…

こいつら…


「…あの時、さくらは…日本に帰って…」

俺は、みんなの顔を見渡して言った。

「…子供を産んでた。」

「……」

「……」

「……」

「……」

「それが…知花だ。」

「……」

「……」

「……」

「……」

「…リアクションなしか?」

コーヒーを飲みながら言うと。

「…驚きすぎて言葉も出ない…」

ナオトが背もたれに身体を預けて言った。

「…知花を産んだものの…さくらは桐生院家を追い出された。」

…嫉妬で追い出すなんて…

全く…信じられない。

…だが、俺も…さくらと一緒に死のうとした。

…変わらないな…


「死産だと伝えられて…さくらも、知花の存在を知らないまま…アメリカに。」

「まあ…色んな理由があったんやろな。名家やし…」

「昨日、その名家から迎えが来た。」

「え……」

「さくらは、桐生院で生きて行く。」

「……」

ナオトが、俺の肩に手を掛けた。

「俺は…周子と結婚するよ。」

小さく笑ってそう言うと。

「…無理に吹っ切ろうとせんでええんちゃう?」

マノンは、らしくないぐらい…真面目な声で言った。

「周子の調子がいい間に…そうしてやりたいと思う。」

「…いいのか?」

ミツグも、心配そうに言ってくれたが…

「いいんだ。やっと俺も、みんなと同じ既婚者になるってわけだ。」

俺がそう言って笑うと。

「バチェラーパーティーやるか?」

ナオトが肩を組んで笑った。

「この歳でか~?」

「歳なんて関係ねーよな。俺の時、酷い事しやがって…仕返ししてやる。」

「勘弁してくれ。」

「日本でやったら、すぐ載っちまうから、アメリカ行ってやろうぜ。」

「ああ、ええな~。」

「バカか。やらない。」

この…テンポ…

久しぶりだ。

心地いい…仲間たち。

なのに俺は…ずっと、誰にも心の中を見せない。

…見せる事が出来ない…


「ナッキー。」

エレベーターの前で、ゼブラが振り返って。

「…17年も、よくも黙ってやがったな。」

俺の肩を突いた。

「…そうだな。」

「何が『そうだな』だ。ほんっと、ムカつく奴だ。」

ミツグも、そう言って俺の背中を叩いた。

「俺ら、何があってもおまえの味方だからな。」

二人はそう言って俺の前に拳を突きだした。

俺はそれを…少し感慨深い気持ちで眺めて、拳を合わせる。

「じゃ、来月から少し事務所に出て来てくれ。」

俺がそう言うと。

「げっ。ナオトとマノンがバイト始めるから、こんな事に…」

ゼブラがそう言って。

「バイトとは失礼なやっちゃな。本気やっちゅーの。」

マノンがゼブラの首を絞める。

「おいおい、もう若くないんだから、すぐ落ちちまうぜ。やめとけよ。」


…大丈夫だ。

笑える。

まだ…

俺は…

やっていける。

こいつらが…いてくれれば。


…大丈夫だ。

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