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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 12:00:27

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アメリカでなっちゃんと再会した経緯や、誰と暮らしていたかを思い出せなくて目を白黒させてると。

「もう、思い出さなくていいから。」

貴司さんが、優しい声で言った。

「…え?」

「必要なのは、将来だ。これからの事を考えよう。」

「…貴司さん…」

「…入籍してもいいのかな?」

あたし達は正座して向き合ったまま、そんな話をして。

あたしがコクコクと頷くと、貴司さんは穏やかに微笑んだ。

そして…寝ようかって事になったけど…

「…もう一つ、聞いていい?」

あたしは、布団に入りながら問いかける。

「何だい?」

「…再婚…したんだよね?」

「…ああ…」

「その人は…どうして亡くなったの?」

「病気だよ。」

「そっか…」

照明を消して、貴司さんはあたしに触れる事なく…寝息を立て始めた。

正直…

もし、求められたらどうしよう。って気持ちの方が強かったから…

…安心した。


貴司さん、あの時…

結婚前提として一緒に暮らすのはどうかなって言った。

だけど、あくまでも芝居だからセックスもしないって。

…不能だから。って。


優しく…抱きしめられた事とか…

額にキスされた事は…何となく覚えてるんだけど…

…あたし達、寝てない…よね。


あの時は、それでホッとしてた。と思う。

だけど…これからは…

あたし、夫婦として…貴司さんと暮らしていくんだから…

それに、再婚した人とは…出来ちゃったって事だよね?

子供、生まれてるんだもん。

……

どうしても寝付けないあたしは、ゆっくりと部屋を出た。

そして、仏間の襖を開ける。

「……」

ご先祖様の写真に続いて…今の貴司さんぐらいの男性の写真…

これは、貴司さんのお父さん…

その隣に、初めて見る…違和感なほど若い女性の写真。

…美人。

「…はじめまして。さくらです。」

あたしは、そこに正座して…写真に向かって頭を下げた。

「……同じ嫁として…って言ったらおかしいけど…同じ立場として…宜しくお願いします。」

もういない人だって分かってるけど…

あたしは写真のその人に、何か…助言でも求めていたのかもしれない。

貴司さんは優しい。

だけど…

…謎の多い人だ。



「あっ!!」

あたしの大声に、桐生院家の全員が肩を揺らして。

「……」

「……」

知花の子供達、可愛い可愛い双子ちゃんは大きく目を開いて…

「う…」

「あっ…ごめん…ごめんね、大声出しちゃって。泣かないで~。」

両手を合わせて謝る。

「何ですか急に…朝から心臓に悪い…」

お義母さんは胸を押さえて溜息をついた。

「お義母さんのお味噌汁だなあって。美味しくって。つい、大声出しちゃった。」

あたしがそう言うと、お義母さんは目をパチパチとさせた後。

「まったく…21年経っても、ちっとも変わってないね、さくらは。」

照れた風にそう言った。

そんなお義母さんを、誓くんと麗ちゃんが物珍しそうに眺める。

「…何ですか。早く学校に行く支度をなさい。」

「…はーい。」

あたしを入れて、八人…

それだけで…賑やかな桐生院家の朝。


…なっちゃん…

今日から…一人で…


…大丈夫かな…。

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