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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 11:14:36

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「はじめまして。さくらです。」

朝食の前。

あたしは、初めて会う『誓』くんと『麗』ちゃんに、そう挨拶をした。

寝耳に水だったらしい二人は、ポカンとした。

そうだよね。

夕べは二人とも、試験前だからって自分の部屋で勉強してたらしいし。

ここの家広いから、玄関や居間で騒いでても、部屋によっては聞こえないもんね。

あたしが挨拶したいって言ったら、二人が興奮して眠れなくなったらいけないから明日にしなさいってお義母さんに言われてしまった。


「…さくらさん…って…もしかして…」

誓くんが、知花を振り返った。

「お母さん。」

知花がそう答えると。

「えっ!!なんで!?いつ!?」

誓くんは、表情豊かだなあ。

その隣で、氷みたいに冷ややかな、だけど超可愛い麗ちゃんは…

「…はじめまして。麗です。」

小さい声でそう言うと、さっさと座って食事を始めた。

うーん…

手強そうっ。

…仕方ないよね。


あたし、夕べは…なかなか寝付けなくて。

貴司さんも寝付けなかったのか…色々話して聞かせてくれた。


まず…

知花は小さな頃…赤毛の事でいじめられて。

それを不憫に思ったお義母さんが、知花をインターナショナルスクールの寮生にした事。

それが元で、知花が自分達に心を開いてくれなかった事。

そして…16歳で結婚して、18歳で離婚した事。

その、結婚と離婚をした相手が……

神千里君だった…って事。


だけどあたしは、神君が会いに来てくれた事を話さなかった。

彼は彼で…きっと何かと闘ってる最中なんだ。

そう思ったから…。


それから…貴司さんは。

「…私が追い出してしまった後の事を、聞いていいかい?」

遠慮がちに…そう言った。

あたしはベッドの上に正座して。

「…それが…よく思い出せないんだけど…」

少しずつ、話し始めた。


「どうしてか…分かんないけど、アメリカにいた…」

「高原さんの所へ?」

「なっちゃ…高原さんとは…」

「…『なっちゃん』でいいよ。」

「……なっちゃんとは…いつ会ったんだろう…でも、その前に…誰か…」

「誰か?」

「うん…三人ぐらいで…暮らしてたような…」

「……」

すると、なぜか貴司さんもベッドに正座して。

「…本当に、すまなかった。」

あたしに、頭を下げた。

「…知花、すごく可愛い。」

「……」

「大事に育ててくれて…ありがと。貴司さん。」

あたしの言葉に、貴司さんは少しホッとした顔になった。


寮生にしてしまったから、溝が出来たって言ってたけど…

貴司さんとお義母さんの愛情は、ちゃんと伝わってるんじゃないかな…って気がした。


「…私と、帰国した時の事は?覚えてるかい?」

貴司さんの言葉を、もう一度…頭の中で繰り返す。

貴司さんと帰国…

…そっか。

あたし、なっちゃんと周子さんの事で苦しくて…

リトルベニスに行く前日…逃げ出したんだ…

そこで、声をかけてくれたのが…貴司さん…

「…うん。覚えてる…」

「じゃあ…あの時、私が君に言った、結婚相手のフリをして欲しいっていうのも…覚えてるかい?」

「……」

えーと…

そう言えば…何か言ってたよね。

「…三食昼寝…ううん、寝床付き…欲しいでしょって。」

「言ったね。」

「それから…」

「……」

「……」

あれ…?

あれって、本当だったのかな。

あたしと貴司さんって、一度もなかったんだっけ…

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