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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/30 09:36:45

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突然…知花が来た。

そして…貴司さんも。

なっちゃんは、久しぶりに…あたしの目を見て、あたしの手を取って。

…あたしを…貴司さんに…

「貴司さん…」

「さくら…」

貴司さんの胸に飛び込んだ。

そうでもしないと…

あたし…

帰れない。

なっちゃんの手を…離せなかった。


貴司さんは、優しくあたしを抱きしめて…

「…悪かった…嘘をついて…許してくれ…」

耳元で…そう言った。

「……」

そんな事…

あたしなんて…

あなたに…

これからあなたに…


一生、嘘をつくのに…。


貴司さんはあたしの背中に手をあてて。

「…先に車に行こう。」

部屋の中を見て、そう言った。

「…知花…」

あたしが知花を気にして振り返ると。

「あの人が父親なんだろう?」

玄関を出ながらそう言われた。

「あ…あの人には、秘密にしてるの…」

「どうして。」

「だって…」

「…もう言ったよ。」

「え…?」

「私とさくらでは、赤毛は生まれないだろう?」

「…あたしの父親…アメリカ人で…」

「もっと上手に嘘をつかないと。」

「……」

貴司さんは車の助手席のドアを開けて、あたしを座らせると。

「さくらを手放すんだ。知花が娘である事ぐらい…知らせてあげて良かっただろ?」

優しい声で…言ってくれたけど…

あたしは、複雑で仕方なかった。

子供は要らないって言ってたなっちゃん…

知花が…あたしとなっちゃんの娘だって…あたし…言えなかった。

言いたくても…

言えなかった。

だって…

苦しむよね?

自分が…子供要らないって言ったせいだ…って。


「…さくら。」

呼ばれて、泣きそうになって尖りかけてた唇を引っ込めて顔を上げると。

「帰りたくないなら…今、ここで降りてもいい。」

貴司さんは…真顔だった。

「え……」

「高原さんと…一緒に、ここに居たいなら。」

「……」

「降りてもいいんだ。」

そう言う貴司さんの手が…震えてるのが見えた。


…あたし、なっちゃんと…居たい。

居たいけど…

もう、無理だって分かった。

あたし達は、お互いを望み過ぎて…

あたしが元気になった今、あたしは…もっと、なっちゃんに色んな事を望んでしまうと思う。

…もう、いいんだ…。

あたし、これからは…

貴司さんと、知花と…お義母さんと…

初めて会う…『誓』くんと、『麗』ちゃん…と。

家族になるんだ…。


「…早く、帰ろうよ…貴司さん。」

あたしがそう言うと。

少し髪の毛に白髪が見える貴司さんは、昔みたいな穏やかな笑顔で。

「…ありがとう…」

助手席のドアを閉めた。


それから…知花が玄関から出て来て。

車の後で…貴司さんと何か話してる。


『父さん、あたし…今、高原さんに…』

『いいんだ。』

『……』

『それに、私とさくらとでは、赤毛が生まれる要素はないだろう。』

『あ…』

『たまには、あの人のこともお父さんって呼んで甘えてあげなさい。』

『父さん…』

『あの人を、好きだろう?』

『……』

『さくらも、愛した人だ。』

『ありがとう…父さん。』


…貴司さん。

ありがとう…。


そして…








ごめんなさい。

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