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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/29 23:38:07

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それから…

なっちゃんは…あたしに、指一本触れなくなった。

朝、起きて…キッチンに行くと、朝食が出来てて。

それは、すごく美味しそうで。

わあ、美味しそう。って、笑顔で…一緒にいただきますって出来たら…

どんなに幸せだったんだろう。

だけど、なっちゃんはそこにはいなくて。

あたしは…一人で、それを食べる。


…いつ?

あたしは…いつ、どのタイミングで…ここからいなくなれば?


なっちゃんは…周子さんと結婚する…

…考えただけで…食事の手が止まる。


結婚…


「……」

今まで…なっちゃんは常にあたしのそばに居てくれた。

あたしは、寝たきりでも…なっちゃんのものでいられた。

なっちゃんは…周子さんに会いに行ったりしてたけど…

それは、義務もあったのだと思う。

だって…施設に入ってるって…言ってたし。


…なっちゃんが…誰かのものになる…

それは、すごく…

……嫌だと思った。


だけど。

だけど…


相変わらず仕事には行かない、なっちゃん。

あたしがキッチンに立ってると、少し離れた場所からそれを見てる事は…ある。

すごく…視線を感じる。

だけど、あたしはあえて振り向かなかった。

あたしが気付いたら…なっちゃんは、その場から居なくなるから…


「食事ぐらい、一緒にしない?」

書斎の前で声をかけると、中から返事は聞こえなかったけど…

ガチャ

静かに、ドアが開いた。


この家に来て初めて…

向かい合って、夕食をとった。

本当は…これが笑顔でなら最高なんだけど。

当然だけど、笑顔はない。

なっちゃんは、黙々とスープを飲んで、静かに食事を続けた。

「…ねえ、なっちゃん。」

「……」

「……愛してる。」

「……」

「……」

「…ごちそうさま。」

あたしの顔も見ずに、立ち上がったなっちゃん。

あたしは、なっちゃんを追って、腕を取る。

「どうして…無視するの?」

「…おまえは、どうして今更そんな事を?」

「…言いたくなったから…」

「……」

「…愛し」

「もう遅い。」

もう一度言いかけたところで…遮られた。

…仕方ないけど…

冷たい声…


「…遅くても…言いたくなったから…」

「……」

「愛してるのに、どうして…って思うよね。」

あたしはなっちゃんの手を握って…それから、腕を抱きしめた。

「…なっちゃんが…瞳ちゃんを大事って言うように…あたしも…知花が大事…」

「……」

「死産って…聞かされたの…だから、生きてるなんて…思わなかった…」

なっちゃんは窓の外に目を向けたまま、何も言わなかった。

夜空には、もうすぐ満月なのかなってぐらい…

丸くて大きな月。

とても…明るい夜。


「あの子の…そばにいたい…」

「……」

月が…雲に隠れて。

さっきまで月明かりに照らされていた庭が暗くなった。

それはまるで…なっちゃんの心の中のようにも思えた。


「あたし…どこにいても…」

「……」

「なっちゃんの事…大事に想うから…」

「……」

「本当よ…?」

なっちゃんは…何も答えてくれなかった。

当然だよね…

そして、ゆっくりとあたしの手を離して…

「…もう休む。おやすみ。」

そう言って…部屋に入って行った。

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コメント2

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  1. ヒカリさん(99歳)ID:6591235・08/30

    カオリさん
    ( ´Д` )……ごめんよ…

  2. カオリさん(47歳)ID:6591015・08/30

    苦しいよ………

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