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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/14 10:47:14

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ドキドキドキドキ…

あたしはまるで…

スタジオナッツをデート場所とでも思っているのか…

ドアの前で、一人。

逸る鼓動を抑えきれずにいた。


この間より、ずっとオシャレして来たんだけど…

可愛いって思ってくれるかな。

って言うか…あたしの事、気付くかな。

別人じゃん!!ってほどじゃないけど…

今日はほんのりメイクもしてるし、髪型だって…

「おい。」

足元を見てたら声をかけられた。

「えっ…あ。」

「部屋予約してんだから、入って待ってればいいのに。」

千里は…ぶっきらぼうにそう言った。

…なんだ。

…すぐあたしだって分かったか。

しかも『おい』って…おい。

何となく唇が尖りかけたけど、んっ。て食いしばって元に戻す。


「何となく…入りづらくて。」

「なんで。」

「受付の人が…」

あたしの言葉に、千里はチラリと中を覗いて。

「あ~…デニーさんか…めんどくさいな…」

ガシガシと片手で頭をかいた。

…めんどくさい?


この前は女の人が受付だったけど、今日は男の人。

しかも、あたしが来た時からニヤニヤしてこっちを見てる。


「…ま、いっか。入るぞ。」

「あ、はい…」

千里について中に入ると…

「あれっ?神、今日個人練?」

受付の男の人が、千里を見て言って。

後ろに居るあたしに目を向けて。

「…違う事に使うなよ~?」

千里に小声で言った。

「そんなんじゃないっすよ。」

千里は相変わらず無愛想で。

マイクとクーラーのリモコンを手にすると。

「行け。」

あたしを階段に押しやった。


スタジオは四階だった。

上に行くほど料金が安いらしい。

エレベーターないしね…


「ねえ、千里。」

スタジオに入って声をかけると。

あたしの呼びかけに、千里はあからさまに嫌な顔をした。

「…何?何でそんな顔…?」

「呼び捨てかよ。」

「あ…ごめん。あたし、先月までアメリカで暮らしてたから…」

「帰国子女ってやつか。」

「そう言われるとカッコいいわね。」

「…ま、いいや。で?何だよ。」

「あ…えーと…千里って、誰かに憧れてシンガーになったの?」

千里は、キーボードをセッティングしながら。

「別に…そういう人物はいない。」

低い声で言った。

「そうなの?」

「おまえは?」

「え?」

「誰かに憧れて、シンガー目指すのか?」

「……」

うー…ん…

千里よ。

とは…恥ずかしくて言えない。

でも、パパが高原夏希だ…って何となく知られたくない…

あ、パパだって言わなきゃいいんじゃん。


「高原夏希って…知ってる?」

あたしの言葉に、千里は少しだけ顔を上げて。

「Deep Redの?」

首を傾げてあたしを見た。

「うん。カッコいいなって思って。」

「…まあ、確かにな。」

「千里もそう思う?あのハイトーンなのに細くない声…シャウトも独特だし、すごいなあって。」

…パパには聞かせたくない。

こんな褒め言葉。


「おまえ、全部聴いてんの。」

「え?Deep Red?」

「ああ。」

「うん。全部知ってる。」

「ふーん。」

「千里は?持ってる?」

「…一応な。」

「何枚目が好き?」

嬉しくて…つい、ペラペラと問いかける。

千里は無愛想なままだけど、あたしの目を見て答えてくれた。

「どれが好きっつーこたないけど…どれもいい作品だよな。」

いい作品。

何だろ…

あたしが褒められたような気がして、笑顔になってしまった。

「さ、始めるぜ。」

千里がそう言って、鍵盤に指を落とす。

「…弾けるの?」

「楽器は一通り全部。」

「うそ…すごい…」

「いいから、声出せ。」

「あ、はい…」


そこから…

あたしと千里の、甘い…わけがない…

「弱い!!もっとちゃんと声出せ!!」

厳しいトレーニングが始まった。

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