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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/13 23:42:57

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その頃を境に、あたしは少しグレ始めた。

あんなに大好きだったママが遠くなった。

だって、ママは結婚したんだもん。

ジェフが一番になったんだよね?


思う事は多々あったけど、口に出す事はなかった。

それが余計、あたし達の溝を深めた。


そして…決定的だったのは…あれだ。


「ヒトミ、君は…お姉ちゃんになるんだ。」

ジェフが…幸せそうな顔で言った。

「…え?」

「スーに子供が出来た。」

「……」

ママが…妊娠?

え?

ガラガラと足元が崩れる気がした。

あたしは…

ママを独り占めしていたかった。

なのにジェフが来て…

さらには、赤ちゃんが産まれる?

それは…ジェフとママが望んだ子供?


…何なのよ…

あたしの存在って…

何なのよ…


翌年、あたしに妹が生まれた。

ジェフにそっくりな、外人顔。

あたしには、ちっとも可愛く思えなかった。

だって、ママに似てる所なんて見当たらない。


あたしは…ずっと、心の中で言い聞かせてた。

あたしは一人っ子。

あたしは一人っ子。

妹なんて、いない。


そして…

その妹が成長していくにつれ、ママとジェフが、あたしを邪魔者扱いしているように思えたあたしは。


「パパの所に行く。」

そう、ママに言った。


会った事もないパパ。

あたしを望まなかったパパ。


困らせてやる。


そう思ったあたしは、最悪なメイクとファッションで日本に来た。


パパが空港まで迎えに来てくれてるから。ってママに言われたけど。

まずはガッカリさせてやれ。って思った。

だって。

ママがパパに送った写真は、思い切り清楚な感じの一枚。

あたしがこんな恰好で日本に来たなんて知ったら、ママは頭を痛めるんだろうな。


あたしは…パパの今の顔を知ってる。

音楽雑誌で調べた。

活動休止してるクセに、今も世界のDeep Redって呼ばれてるバンド。

そして…ビートランドって音楽事務所の創立者。

歌ってないのに…音楽雑誌に載ってた。

インタビュー受けてた。

アメリカの音楽雑誌なのに。

日本にいるクセに。

夢を語ってた。

日本から、世界へ羽ばたけるアーティストを育てたい。

…実の娘は育てられなかったクセに。


キャリーケースをだるそうに引っ張りながら、ガムを口に入れて、あたしは歩いた。

そして…視線の先に、見付けた。

…パパ…高原夏希。


ドキドキした。

背が高くて…何だか…すごく、カッコいい。

ジェフなんか、比べものになんない。

オーラが…見える気がする…

あの写真立ての写真と…変わんないよ…

あたしがゆっくりと歩いて、パパの前に立つと。

パパは無言であたしの姿をじっと見た。

「……」

「……」

「……」

「…何か言えば。」

「…今向こうでは、そういうのが流行ってるのか?」

「は?」

何それ。

それが第一声!?

あたしが眉間にしわを寄せると。

「…可愛くない。」

パパはさらに信じられない言葉。

「何様よ。」

あたしは斜に構えてパパを睨んだ。

だって…14年ぶりに会う娘に、可愛くないって…!!

…まあ…あたしもこれが可愛いとは思ってないけどさ…

…困らせたかったのに、こんなので再会したのを後悔…してる?



「可愛いって言って欲しければ、そのメイクはやめる事だな。」

「別にあんたに褒められなくたっていい。」

「あんたなんて言うな。ちゃんとお父さんって呼べ。」

「よく言うわ。ほったらかしてたクセに。」

「その父親の所へ来るって言ったのは誰だ。」

「あの家を出るための手段よ。」

「手段には使われてやる。だが最低限のルールは守れ。」

「…最低限のルールって…?」

「週末は一緒に食事をする事。そして、ちゃんと『お父さん』って呼ぶ事。」

…ドキドキした。

最初は、寮に入れって言われた事に腹を立てた。

やっぱり、あたしは邪魔者なんだ。って。

だけど…週末一緒に食事?

お父さんって呼べ?

…何よ。

何なのよ…って思う反面…

Noって言わせないって顔…

だけど、このテンポのいい会話…

何だろう…


「…なんで『パパ』じゃダメなの。」

「年頃の女と歩いてて『パパ』なんて呼ばれたら、俺はすぐにゴシップ誌に載っちまうからな。」

「…それ、面白い。」

「面白くなんかあるもんか。」

「じゃ、こんな恰好のあたしとこうしてたら、すぐ載っちゃう?」

パパの腕に、しがみついてみた。

パパは一瞬、あたしの顔を見たけど。

「…こんなメイクじゃない時にして欲しい。」

溜息をついてうつむいた。

「何よ。お気に入りなのに。」

うーん…もう自分で言うのも辛い。

こんな恰好、するんじゃなかった。

「何度も言うが、可愛くない。」

「うるさい。おっさんに可愛いって言われるの、ゾッとするからいい。」

「おっさんじゃない。お父さんって呼べ。」

「いちいち命令しないでよ、おっさん。」

あたし…

ずっとドキドキしてる。


パパって…

お父さんって…


カッコいい。



あんなに固く誓ってた、パパを困らせてやる作戦は。

すぐに、あたしの中から消えた。

だけどあたしは…

無意識に、パパを困らせ続ける事になる。

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