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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/13 18:43:35

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「まずスタジオにお邪魔してみよう。」

TOYSのテープを聴いたナッキーがそう言うて、俺とナッキーとナオトは、TOYSが入っているスタジオに向かった。

「全員17歳か。若いな。」

「俺らも17の時にはやってたじゃないか。」

「俺がナッキーとナオトにスカウトされたんは、15ん時やなー。」

そんな思い出話をしながら、仮にも「世界のDeep Red」て呼ばれた俺らは、ちっさいスタジオの入り口に立った。


「…懐かしい感じやな。」

ナッキーらはミツグんちの倉庫で練習してたらしいが、俺は大阪におる時は、こんな感じのちっさいスタジオやった。

15の俺から見たらおっさんに思えた20代後半のメンバーと、狭い部屋ん中で汗だらけんなったもんや…


入り口のドアを開けると、受付があって。

金色の長髪を後ろで括った男が、たばこを吸いながらこっちを見た。

「らっしゃー…い………え…?」

活動休止して10年経って、もはや俺らはただの40過ぎのおっさん集団やのに、今も気付いてもらえるんや?

ナオトと顔を見合わせて首をすくめた。

「ディ…」

受付の男は、俺らを指差して、それから壁を指差した。

…ああ、なんや。

ポスター貼ってあるんや。

「うっわー、懐かしいなコレ。マノン、どこのホストだよ。」

「ナオトかて、このビラビラのシャツおかしいやんな。」

「ナッキー…変わんねーな…整形成功だな。」

「全くな。」

「えっ、ナッキー整形してたん?」

「嘘だよ。こいつが自分をいじる奴に思えるか?」

「一番無頓着やのにカッコええって、悔しいなあ。」

ポスターを見ながら、そんなどうでもええ会話をしとると。

「す…すいません…サ、サ…サイン…もらっても…?」

受付の金髪は、どっから出してきたんか…色紙とマジックを差し出した。

「いいよ。その代わり、スタジオ見学させてもらっていいかな。」

ナオト…その営業スマイル、ええなあ。

受付の男は何回も握手して、ついでに写真も一緒に撮って。

「こんなおっさん達相手に、そんなに喜んでもらうと恐縮だな。」

ナオトの営業スマイルは続く…

「おおおおっさんだなんて!!Deep Redは常に僕達バンドマンの憧れです!!」

なんちゅう緊張ぶりや…

兄ちゃん、おもろいで。

「それは嬉しいなあ。じゃ、たまにはDeep Redも流してくれると嬉しい。」

流れとるBGMを聴いて、ナオトが人差し指をくるくる回しながら言うた。

「たまったま、たまにだなんてー!!いやっ、いつもは流してるんです!!今日はその…若いバイトが…」

「あはは。いいよいいよ。色んな音楽聴いて勉強した方がいい。」

「ははははいっ!!はい!!勉強します!!」

入って来た時とは別人やな。

面倒臭そうな顔で、体斜めにして座っとったのに、今や立ち上がってどっかの軍隊か思うような姿勢やん。


「上がらせてもらうよ。」

ナッキーがホワイトボードを見て言うた。

なるほど。

TOYSの部屋番号は…2階のCスタ。

「はい!!ごゆっくり!!たっぷりとご覧ください!!」

盛大な見送りに笑いながら、ナオトが階段を上がる。

それに続いてナッキーが。

俺は最後に、狭い階段の両壁に貼ってあるポスターやらチラシやらを見ながら上がった。

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