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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/13 17:35:13

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「あはは。なんや、頭痛そうやな。」

事務所の部屋で、マノンが笑った。

何に笑ったかと言うと…


「瞳ちゃん、このままだと退寮させられるんじゃ?」

ナオトがニヤニヤしながら言った。


寮で上手くやってくれるといいが…と淡い期待を寄せていた瞳は…

門限は守らない。

無断外泊をする。

寮に男を連れ込む。

そんなわけで…

俺は、この一カ月で三度も学校に呼び出された。


しかし、嬉しい事もあった。

何の変化があったのか…

変なメイクをしなくなった。

おまけに、あれだけ『おっさん』と呼んでいた俺の事も、素直に『お父さん』と呼び始めた。

…いったい何があったんだ?


「そりゃあ、男ができたんちゃうかな。」

薄々そう感じていた俺だが、マノンに断言されて…少しショックを受けた。

男…

まあ、寮に連れ込んでるぐらいだから…そこまでしたくなるような男なんだろうが…

瞳を退寮に追い込むような男とは、正直交際なんぞさせるわけにはいかない。


「あ、それより今回のオーディション、なかなかいいのがいるぜ。」

ナオトが資料を手に笑った。

「どんな?」

椅子に深く座って問いかけると。

「高校生バンドだけど、見た目がいい。あと、ボーカルがインパクト強いな。」

「へえ…」

今まで、この事務所に入りたいとオーディションを受けにきたアーティストは数知れず。

だが、その審査を通る者は…数少ない。

ま、俺とナオトとマノンの好みや気まぐれで決まってしまうもんなんだが。


「ナオトがそこまで言うて、珍しいなあ。テープ聴けるん?」

マノンが俺の気持ちを代弁してくれた。

俺は無言で二人のやりとりを聞く。

「ああ、あるぜ。」

ナオトが封筒に入っていたカセットテープを取り出して、デッキにセットした。

「ほお…ええ音出すなあ。」

イントロのギターは…確かに高校生にしては上手い。

マノンが腕組みをして聴き入る。

そして…

「…………いい声してるな。」

久しぶりに…胸を熱くする声を聞いた気がした。

「そうだろ。」

ナオトは嬉しそうに口元を緩めると。

「二週間後のホールオーディションに来いって連絡しようぜ。」

俺に資料を渡した。


バンド名、TOYS…

久しぶりに、俺の胸を震わせたボーカリストは…

神千里。

若干17歳。

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