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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/13 15:56:25

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周子がさくらに会いに来て一週間後。

その日はやって来た。


「……」

「……」

「……」

「…何か言えば。」

俺は…

目の前の瞳に、無言で瞬きを繰り返した。


なぜかと言うと…


「…今向こうでは、そういうのが流行ってるのか?」

空港に迎えに来て。

周子にもらった瞳の写真を頼りに、待ち合わせ場所で待っていると。

俺の目の前に立ちはだかった…一人の女の子。


どぎついアイメイク。

左斜め上で結ばれた髪の毛は、所々にメッシュが入っていて。

ショッキングピンクのタンクトップに、下着が見えるんじゃないか?っていうぐらい短い迷彩柄のタイトスカート。

下品にガムを食べながら、それをプウと膨らませる。

その姿は…


「…可愛くない。」

俺がポツリとそう言うと。

「何様よ。」

瞳は斜に構えて俺を睨んだ。

「ほら。これが瞳だってもらった写真。」

手に持っていた写真を見せると。

「ダサっ。」

瞳はそれを見て、眉をしかめた。

「こっちの方が十分可愛い。そのメイクはどうした?オカルト映画に出て来そうだ。」

俺が真顔で言うと。

「それが14年ぶりに会う娘に言う言葉?」

なるほど…

周子の手に負えなくなるわけだ。

誰も信用してないって目をしてる。

…そういう年頃なんだろうが…


「可愛いって言って欲しければ、そのメイクはやめる事だな。」

「別にあんたに褒められなくたっていい。」

「あんたなんて言うな。ちゃんとお父さんって呼べ。」

「よく言うわ。ほったらかしてたクセに。」

「その父親の所へ来るって言ったのは誰だ。」

「あの家を出るための手段よ。」

「手段には使われてやる。だが最低限のルールは守れ。」

「…最低限のルールって…?」

俺に向かって対等に言葉を出せる人間も少ない。

瞳のテンポの良さに、俺は少しばかり笑いが出そうになっていた。


「週末は一緒に食事をする事。そして、ちゃんと『お父さん』って呼ぶ事。」

「…なんで『パパ』じゃダメなの。」

「年頃の女と歩いてて『パパ』なんて呼ばれたら、俺はすぐにゴシップ誌に載っちまうからな。」

本当に。

意に反して…俺は遊び人と思われているらしい。

あちこちに女を囲って、産ませた子供は数知れず…

いったい誰がそんな噂を流してるんだか…


「…それ、面白い。」

「面白くなんかあるもんか。」

「じゃ、こんな恰好のあたしとこうしてたら、すぐ載っちゃう?」

そう言って、瞳は腕を組んできた。

「…こんなメイクじゃない時にして欲しい。」

「何よ。お気に入りなのに。」

「何度も言うが、可愛くない。」

「うるさい。おっさんに可愛いって言われるの、ゾッとするからいい。」

「おっさんじゃない。お父さんって呼べ。」

「いちいち命令しないでよ、おっさん。」

口ゲンカのようでありながら…

どこか楽しんでしまっている俺がいる。

14年ぶりに会う、娘。

緊張していたが…それもなくなった。


寮で上手くやっていけるのか…不安もあるが。

信じるしかない。



だが。

この、好奇心と反抗期が盛大にやって来ている瞳に…


その願いは届かないのであった。

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