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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/12 20:30:41

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「もうイヤ。」

あたしがそう言うと、ママは小さく溜息をついて。

「…瞳。」

いつもの、低い声。

しかも、名前しか言わないって何?

ママには意見はないの?


「ヒトミ、ママは君の事を想って…」

横から口を出して来たのは、ママの旦那のジェフ。

…元旦那で、また旦那のジェフ。


「うるさいなあ…父親でもないクセに、偉そうに口挟まないでよ。」

あたしがそう言うと…

パシン。

ママの手が、あたしの頬を打った。

「スー…それはいけないよ…」

ジェフがママの肩に手を掛けて言ったけど。

「そんなにここが嫌なら、パパの所に行けば?」

ママは冷たい声でそう言った。

パパ。

写真でしか見た事のない…あたしのパパ。

あたしとパパの写真は、あたしがまだ抱っこされてるぐらい小さい頃。

そんな頃しか会ってない人の所へ行けって?


「ヒトミ、大丈夫かい?ママは君の事をとても愛してる。だから…」

「…行く。」

「…え?」

あたしの肩に掛かったジェフの手を振りほどいて。

あたしは、ママの目を見て言った。


「パパの所、行く。連絡しておいてよ。あたしがそっちに永住するって。」

「…ヒトミ…」

「……」

ジェフは悲しそうな目をしたけど。

ママは、何も変わらなかった。

少し冷たい目であたしを見て…

「…好きになさい。連絡はしておくわ。」

相変わらず低い声で…そう言った。


あたしは部屋に入ると、ママに叩かれた頬に手を当てて…少しだけ泣いた。

ベッドに倒れ込んで、自分が口にした言葉を後悔した。

…パパの所へ行く…なんて…

あたし、パパと上手くやってけるのかな…


一緒に写った写真を手にして眺める。

パパは…世界のDeep Redと言われるバンドのボーカリストだった。

…今も、なのかな?

解散はしてないけど、活動もしてない。

ただ、今はバンドでって言うより…

ミュージシャンを育てる人って事で有名。

世界中のミュージシャンが、Deep Redのニッキーの音楽事務所に入りたい。って、その門をたたくらしい。

その入り口はかなり狭いらしいけど。


パパ…か。

今まで呼んだことのない存在。

…あたし、マザコンのクセに…

ママから離れて、何も知らないパパの所へなんて行けるのかな…


だけど、もう我慢の限界だった。

ここにはいたくない。

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