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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/12 10:08:19

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「…朝子の怪我がなくても、紅美とは続かなかったよ。」

海くんが、あたしの頭を撫でる。

「あいつは歌ってなきゃいけない人間だ。」

「……」

「俺は、一生現場に出続ける。」

「でも…特別機関じゃなくなるって…」

「それでも、俺が携わるのは…危険な仕事には変わりない。」

「……」

海くんは立ち上がって空を見上げると。

「朝子の旦那、華音のイトコだってな。」

優しい声で言ってくれた。

「…うん…」

「じゃあ、何かあったら桐生院に行って、さくらさんに会ってみるといい。元気が出るぞ。」

「…うん…分かった…」

「朝子。」

「……」

座ったまま、海くんを見上げる。

「もっともっと、幸せになれよ。」

「……ん…うん…ありがとう…」

涙が止まらない。

あたし、海くんとのは辛い思い出しかないって…勝手に思ってた。

だけど…

あたし、ちゃんと…海くんに恋してたよ。

海くんが学校の先生として桜花に入ってた時…

紅美ちゃんから。

『海くんモテてるよ?ちゃんと彼女がいるって匂わせた方がいいから、お弁当でも作ったら?』

って言われて…

あたしは、毎日…お弁当を作るのが楽しかった。

そのご褒美に…って。

毎月、どこかに連れて行ってくれた。

…一度も…触れてくれなかったけど…

お出かけの前の日は、ドキドキして。

車に乗っても、海くんの顔がちゃんと見れなくて…


あたし…

恋してたよ…。


「…志麻が選んだのか?」

ふいに、あたしの自転車を見て、海くんが言った。

「…どうして…?」

「あいつの好きな色だ。」

「……お兄ちゃん、全然連絡つかなくて…」

自転車に触りながら言うと。

「ああ…今ドイツで頑張ってくれてる。」

「え?ドイツ?」

だから…連絡つかなかったんだ。

「志麻には…本当に感謝してる。自分の事よりも二階堂を優先してくれて…」

「お兄ちゃん、仕事好きだから…」

「そうだな。」

「彼女との関係が心配。」

「…まったくだ。」


いい風が吹いて…

あたしは、顔にかかってた髪の毛を耳にかける。


「…アメリカで、手術を受ける事になると思うの。」

「…そうか。」

「…受ける…ね。」

あたしの言葉に、海くんは静かに笑顔になった。

それは…

あの頃、あたしがとても、とても…欲しかった笑顔で。

だけど今は…

素敵な笑顔の人だな…って。


海くんは…

あたしの、憧れの人になった。


やっと…

お別れできる。



バイバイ。


海くん。

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