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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/11 19:09:22

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忙しい映が動いてくれてるんだ。

あたしだって、動かなきゃ。

そう思ったあたしは、朝早くに二階堂に…

堂々と正門から入る勇気がなかったから、別宅の裏から入ろうと…すると…

「…何…?」

大勢の人が…


あたしは苦手なコッソリを頑張りながら、何とか家に入る。

靴がないから、誰もいないのかな?

でも、鍵開いてたし…

「朝子。」

「はっ…」

驚いて振り向くと、庭にお兄ちゃんがいた。

「…やっと帰ってくれたのは嬉しいが、今日は全員出払うぞ?」

「そ…そうなんだ…父さんと母さんも?」

「…ああ。」

「何か…変わった事?」

「…ちょっと、関係者の葬儀がな。」

「そっか…」

タイミング悪かったな…と思いつつ、内心はホッとしてた。


「…関係者って、二階堂の人?」

よく分かりもしないのに聞いてみると。

お兄ちゃんは少し間を開けて。

「…被害者遺族が亡くなった。」

小さくつぶやいた。

「ふうん…」

二階堂は…特殊な現場で一般人を守るのが仕事。

あたしは二階堂に生まれ育ったのに…

それぐらいの事しか知らない。

だから、こうやって被害者遺族が亡くなったからって、二階堂から大勢が押し掛ける事の意味が分からない。


「…辛い事はないか?」

お兄ちゃんが、あたしの頭を撫でながら言った。

「ないよ。」

「そうか。あいつとは…上手くやってるのか。」

「うん。新しいバンドも決まって忙しくしてるけど…あたしとの時間も大事にしてくれてる。」

「……朝子。」

「ん?」

「……」

「…お兄ちゃん?」

何となく…

お兄ちゃんが、すごく…寂しそうな顔をした気がして…

あたしは、お兄ちゃんの顔を覗き込む。

「…何かあったの?」

小声で問いかけると。

「…いや。なんでもない。」

お兄ちゃんはいつもの笑顔になって…また、あたしの頭を撫でた。

「あいつから電話がかかってるらしいが、うちの親も頑なだな。」

「…んー…ずっと海くんと…って思ってたんだろうから…仕方ないんだろうけどね…」

「そう言えば、坊ちゃんも葬儀に参列されるはずだけど。」

「え…」

「…会うか?」

「……」

ずっと…

考えてた。

この顔の傷の事…

そして、海くんの事。

あたしが幸せになるには…海くんを…

海くんを、あたしという呪縛から、解き放ってあげなきゃ。って。


なのに…

あたし、桐生院華音さんに『海は変わったよ』って言われて。

あたしの事なんて、もうどうでも良くなってるのかな…って…

少し、捻くれた感情が湧いた。

楽になって欲しいのに。

あたしは、映と幸せになるのに。

…どうして…


あたし…未練があるの…?

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