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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/11 16:19:58

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「映。」

呼ばれて顔を上げると、エスカレーターの上でノンくんが俺に手招きしてた。

イトコであり…ライバル。

今の所、俺を一番刺激する存在だ。


「今無職なんだっけ?」

「気にしてんのに…」

「ははっ。おまえ、なんかキャラ変わったな。」

「そっかな。」

ノンくんと並んでスタジオの空き状況を眺める。

「さっき彼女に会った。」

「彼女?」

「おまえの彼女。」

「…朝子?」

「ああ。」

「顔見知りだったっけ?」

「妹の婚約者の妹。」

「…ややこしいな。」

ちょっと…ドキドキした。

ノンくんは…色男だ。

朝子…好きになったりしてねーよな…


「でも、俺に会ったのを映に言うなって口止めしてるから、おまえも知らん顔しててくれ。」

「え?」

ノンくんの言ってる事が謎だったが…

「昨日、学に会ってさ。」

「うん。」

「色々話してる内に、映が渉さんに会いたがってるって聞いて。」

「…ああ。」

そう。

俺の会いたかった『わっちゃん』こと、朝霧渉さんは…

なかなか連絡が取れなかった上に、やっと連絡が取れた時…

『申し訳ない。今から飛行機に乗るんだ』

「え?どこかへ出張ですか?」

『アメリカに三年間』

…タイミングが合わなかった…


「それで…渉さんに聞きたかった事は?」

「は?」

「俺が知ってる事なら、俺が答える。」

「……」

思いがけない言葉。

「でも、ノンくんは…朝子が怪我をした理由…知ってんの?」

「ああ。知ってる。」

「え…っ…」

まさか…

ノンくんから真相を聞く事になるとは…


俺はスタジオに入るのを辞めて、オフだと言うノンくんとDANGERのプライベートルームに。

「朝子ちゃんの怪我は、海を庇って出来たってのは知ってんだろ?」

…海?

ノンくん、許嫁の事…知ってんだ?

そう思ったけど、そこは聞かなかった。

「うん。」

「で、なぜ海ほどの人間が、朝子ちゃんに庇われなきゃいけなかったか、と。」

「そう。何か他の事に集中してたからだろ?」

「そうだな。海の前に紅美がいたから。海は紅美を守ろうとした。」

ドクン。

心臓が…大きく揺れた気がした。

「……嘘だろ?」

「ほんとだ。朝子ちゃん、何も言わなかったか?」

「…聞いてない。」

「そうか。それはなかなか潔いな。」

「…許嫁…紅美…と?」

「ああ。付き合ってた。」

「…イトコ…だよな?」

「関係ねーだろ。」

「……」

色んな感情が出かけた時…

「言っとくけど、その時は許嫁って括りもなくなってたし、海も紅美もフリーだったからな。」

ノンくんがキッパリ言った。

「…でも」

「その怪我で、朝子ちゃんは海を手に入れた。」

「……聞こえの悪い事言うな。」

「でも本当だ。」

「……」

この傷のおかげで、手に入れた物があるの。


朝子の声が…

とても悲しく思い出された。


「…朝子は、知ってたのか?紅美と…許嫁が…」

「事故の後で知ったみたいだぜ。」

「……」

…いくら、許嫁って括りがなくなっていたとしても…

長年、その相手が生涯の伴侶と思い育って来たとしたら…

きっと、朝子には気持ちが残っていたはず。

あいつは、そんなに切り替えが上手くない。


「…紅美と付き合ったものの…」

ノンくんは少しトーンを落として。

「結ばれるわけがない。って事に…すぐには気付かなかったみてーなんだよな…海のやつ。」

指を玩びながら言った。

「…結ばれるわけがない?」

「二階堂のトップだ。海か紅美、どちらかが全てを捨てなければ…無理な話だな。」

「……」

「海は紅美から歌を取りたくなかったし、紅美は海に二階堂を捨てさせられなかった。」

…そうなると、朝子は許嫁として適任だったってわけか…

「…なんでノンくん、俺に…こんな事?」

ギターを手にしたノンくんの問いかけると。

「俺、紅美の事好きなんだよなー。」

さらっと告白された。

「…イトコ…だよな?」

「関係ねーし。」

「……で?」

「あいつには、笑ってて欲しいんだ。」

「……」

「学に話を聞いた時、映はいずれそこまでたどり着くかなと思ったら…曲がった話を聞くより、俺から言いてーなと思った。」

「…いつから紅美を?」

「ガキの頃から。」

「…付き合いたいとか…」

「ま、欲がないわけじゃねーけど、紅美が笑ってるなら誰が隣に居ても構わねーよ。」

「……」

ノンくんが…すごく大きく思えた。

そして、紅美は…ずっとそういう見えない物に守られている気もした。


俺も…朝子に笑っていて欲しい。

だが、真相を知りたい理由は…もう、好奇心と意地だけだったかもしれない。

朝子の顔の傷…

あれが、許嫁を庇って出来た物で。

朝子がそれを持ち続けている事。

…まだ、許嫁から気持ちが離れてないんじゃないか…って。


「…どうしたら、ノンくんみてーに大きく構えられるのかな。」

小さくつぶやくと。

「ははっ。大きく構えてなんてねーよ。言い換えたら臆病なだけだ。」

ギターは、『Lovely Days』を奏でてる。


「きっと、朝子ちゃんはおまえより自分の傷を見てない。」

…確かに…

俺は朝子の顔を見るが…

朝子は鏡を見なきゃ…傷は分からない。

「俺も今日見たけど、さほど気にはなんねーよな。」

「…ああ。」

「でも、朝子ちゃんの中では、あの傷は俺達が見てる物より大きくて、すげー醜く感じてんだよ。」

「…解放してやりてーんだけど…」

俺の言葉に、ノンくんはバンバンと俺の背中を叩いて。

「やりてーんだけど?」

「……」

「やれよ。」

そう言った後。

「まずは、早く就職しろ。」

俺が気にしてる事を、笑いながら言った。


…さすが、神千里の息子…。

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