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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/10 15:12:12

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『今日…来れそう?』

咲華から電話がかかった。

俺は眉間にしわを寄せて、少し悩んだ後…

「…申し訳ない。」

小さく答えた。


今の俺は…自分の幸せうんぬんどころではない。

朝子がボスとの婚約を破棄したから…というわけではないが、以前にも増して二階堂に尽くしたい気持ちが大きい。

今回はいい。と言われても、自分が行く事で仕事がスムーズに動くなら、いつでも…アメリカにもドイツにも行く。

ただ…

そうすると、俺は…咲華をないがしろにしてしまう。


婚約して一年…

両親も気にしてくれてはいるが…

俺達は何があっても二階堂優先だ。

今の状況で、結婚など…あり得ない。


この間、久しぶりに咲華を抱いた。

子供が欲しいと言われて…正直焦っている。

…俺より一つ年上の咲華。

きっと、結婚や出産に対する想いは…俺よりも真剣だろう。


「咲華…」

『ん?』

「…俺…」

『……』

「……いや、何でもない。」

『何?』

「いいんだ。」

『何言いかけたの?』

「……」

電話の向こうの咲華が、いつもと様子が違う気がした。

『ちゃんと言って…あまり会えないのに、言葉まで飲みこまれたら…あたし、どうしたらいいか分からなくなるよ…』

「……」

胸が痛んだ。

痛んだが…正直に話す事にした。

「…もう、一年待たせた。」

『…うん。』

「なのに、まだ…落ち着けない。」

『…うん。』

「…本当に、俺でいいのか?」

『…ねえ。』

「…ん?」

『入籍だけでもしない?』

「……」

『夫婦っていう形ができれば…お互いこんなに不安にならないんじゃないかな…』

お互いこんなに不安にならない…

その言葉に違和感を覚えた。

俺には不安はないつもりだった。

俺にあるのは…罪悪感だ。

だが…

咲華には常に…不安があるって事か?


「…咲華は…何が不安なんだ?」

『え?』

「会えない事?結婚の話が進まない事?」

『…それは…』

「正直に言って欲しい。」

『……』

俺の言葉に咲華は少し黙った後。

小さな声で言った。

『…会わない間に…あなたが誰かを好きになるんじゃないかって…』

「………バカな。」

思いがけない返事に、すぐには言葉が出なかった。

俺は、こんなにも…咲華を愛してるのに。

だが、それが…伝わっていないという事か?


「でも、そう思わせているのも確かなんだろうな…本当に…悪い。」

『……』

「…咲華?」

電話の向こう…

咲華が黙ったまま何も言わない。

いつもなら…

そんなことないよ。と…無理しながらでも言うのに…


『…体、無理しないでね。』

「…ああ…」

『じゃ…』

「咲華。」

『……』

「…愛してる。」

『……うん。分かった…』

電話はそこで切れた。

あきらかに…いつもと違った。


愛してる。

あたしもよ。


いつもの咲華の言葉は…


そこにはなかった。

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