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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/09 19:26:48

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ハリー・エリオットに会わないで済むように生活してた。

はずなのに。

いつものように、少し早めに店に向かって。

まだ開店前。

誰もいるはずのない店の前に…

…金髪…

…ちょっと…まさか……

「あ。」

「……」

あたしは目を見開いて…そして、さりげなく向きを変えて。

ダッシュ!!

「アサコ!?なんで!?」

それはこっちのセリフ!!

なんでー!?

なんでハリーが…『あずき』の前にいたの!?

そ…そう言えば…

おかみさんが…

『最近は外人のお客さんも増えたし』

なんて言ってたような…

それって…

ハリーが通ってた…とか!?


「アサコ!!」

「きゃっ!!」

腕を掴まれて、振り向かされた。

「……」

「やっぱり…アサコ…どうして逃げたの?」

「…それは…」

会いたくなかったから…よ。

ハリーはあたしの腕を掴んだまま。

「俺…あれからアサコの事ばかり考えてた。」

「…え?」

「会えないかなって…毎晩あの店に行ってたのに…」

「……」

「そっか…日本に帰ってたんだ…」

ハリーは髪の毛をかきあげて…あたしを見つめて。

「アメリカには?」

首を傾げた。

「…もう、用はないわ。」

「そうか…じゃ、アサコがいるなら…俺も日本で働こうかな。」

「えっ。」

あの雑誌の記事が頭をかすめた。

拠点を日本にせざるを得ない…とか何とか…

「連絡先聞いていい?」

「いっ…いえ、あの…あたし、あの…」

あたしが困ってしどろもどろになってると…

ぐい。

突然、ハリーの手があたしの腕から引き離された。

「何やってんだ。」

「……映く…」

「……」

突然の映くんの登場に。

あたしもだけど…ハリーも驚いてる。

二週間ぶりの…映くん。

ああ…やだ…泣きそう…


「何外人気取って英語で女口説いてんだよ。」

映くんはそう言いながら、あたしを自分の後ろに追いやった。

「…え?外人気取って…って…」

泣きそうになってたのに、映くんのその言葉にあたしがキョトンとして二人を見ると。

「こいつ、日本語ペラペラ。」

「えっ…?」

映くんにそう言われたハリーは…

「いや、俺半分は外人やけどな…なんや、映とアサコちゃん、知り合いやったんか…」

「え…?え?え?」

その見た目とは…随分似合わない…関西弁…

「…知り合いなのか?」

映くんが、あたしを振り返った。

…はっ…!!

「俺とアサコは…」

い…言わないで!!

と思ったけど。

どうせ…あたしと映くんはもうダメだ。

それなら、変に隠してビクビクするより…

「あたしの、初めての相手なの。」

あたしは…映くんの後ろで。

低い声でそう言った。


「……」

映くんが、無表情であたしを見てる。

今度は…あたしも目を逸らさなかった。

「…今、なんて?」

「…アメリカにいた時に知り合ったの。グレたあたしが行ったバーに、彼がいて…」

「熱い夜やったよな。」

ハリーが言葉とは裏腹な、爽やかな笑顔で言うと。

「…それはそれは…」

映くんはハリーに冷ややかな目をした。

「で?映はアサコの何やの。」

ハリーが首を傾げて問いかける。

い…

今その質問?

「……」

ハリーの問いかけに、映くんは無言だった。

そっか。

言えないんだ。

彼女…って…言ってほしかったけど…

しばらく会うのやめようって言われて…

連絡もなかった。

あたしからも、しなかった。

これが俗に言う自然消滅なのかー。なんて、他人事に思ってた。

だけど…

あたし、映くんの事…好き。

こうして、そばにいるだけで…

もう、このままずっと一緒にいたいって…


「俺達がどういう関係でも、おまえには関係ねーよ。」

あたしの腕を離しながら…映くんが言った。

…手…離されちゃった…

食いしばって、うつむいてしまった。

もう…これって、無理だよね…

いい雰囲気の時に、他の男の人の名前を言ったり…

映くんの知り合いが、初めての相手だ、って…告白してしまったり。

こんな女…

願い下げだよね…


「ほー。ま、そう言うんなら、俺にもチャンスあるって勝手に思うで?」

ハリーがそんな事言ってるけど。

あたしは…もう恋なんてしたくないって気持ちになっていた。

海くんとは、あんな形で終わって。

映くんとは…あたしの大失態で傷付けて終わるとか…

恋なんかするなって事よ…きっと。


「……」

「あれ?チャンスある思うてええんや?それなら、俺早速こっちの事務所と契約しよ。」

映くんが何も言わない。

それがあたしの気持ちを小さく小さくして行った。

何か…言ってよ…

「アサコ、俺、彼氏候補にしといてな。」

ハリーがそう言って、映くんの肩を押しよけてあたしに近寄ると。


「二人ともダメだな。」

聞き慣れた声がした。

顔を上げると…

「お…」

そこに、お兄ちゃんがいて。

あたしを見て、唇の前に人差し指を立てた。

な…何?

黙ってろ…って事?


「…なんやおまえ。」

ハリーがお兄ちゃんをジロジロと見る。

映くんは…相変わらず無表情。

「誰よりも朝子を知ってる男さ。」

お…お兄ちゃん!!

そ…そんなの誤解されちゃう!!

案の定、映くんとハリーは目が細くなってる…

「まず、おまえは軽すぎる。ダメだ。」

お兄ちゃんはそう言ってハリーの体を軽く押して。

「そして、おまえはずっと朝子を泣きそうな顔にしてる。ダメだ。」

映くんには…そう言って冷ややかな目を向けた。

それでも…映くんは何も言わなかった。

…もう…本当に…ダメだ。

何も言ってくれない映くんに、あたしの心はポキッと折れる寸前…


「朝子、仕事が始まるぞ?行こう。」

お兄ちゃんはそう言ってあたしの肩を抱き寄せた。

「待て。」

歩き始めたあたし達に声をかけたのは…



映くんじゃなかった…。

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