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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/09 17:12:13

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華月ちゃんと別れた後。

あたしは、遅ればせながら…DEEBEEのCDを買いに音楽屋に寄った。

そして、映くんが表紙になってた雑誌も買った。

さらに、DEEBEEの記事が載ってる雑誌を探して、五冊買った。

もっと知りたい。

映くんの事、もっと知りたい。

…知らなくちゃ。


本当…何もかもが遅い。

息巻いて二階堂から出て。

一人暮らしを始めて、仕事もして、恋も…始まって。

順調過ぎた。

あたし…自分自身が育ってないのに…

映くんに好きって言われて。

のぼせあがった結果がこれだ。

傷付けた。

きっと…すごく傷付けた。


買い物をして部屋に帰ると、あたしは携帯を手にして深呼吸した。


『映くん、会いたいです』

一言…そう送ると。

『急にどした?』

すぐに返信があった。

『会いたいの』

『悪いけど、しばらく時間取れないかも』

……眉間に力が入った。

この間まで、どうにでもなるって言ってたのに…


…海くんの名前を言ってしまった、あたしが悪い。

分かってる。

分かってるけど…


携帯を手に、泣いてしまった。

あたしが悪いけど…

こんなにあからさまに避けられるなんて…


首元のネックレスを触る。

映くんがプレゼントしてくれた、ピンクトルマリン。

あたし…

どう返信したらいいの?

『だったら仕方ないね』

『どうして?どうにでもなるって言ってたじゃない』

『分かった』

メールを打っては消し…

結局、どう返していいか分からなくて…あたしは携帯の電源を落とした。


…苦しい。

膝を抱えて、しばらく泣いてると…


ピンポーン

…誰か来た。

泣き顔のまま出たくなくて、そのまま身動きしないままでいると…

『いるのか?いないのか?』

ドアの外から…映くんの声…

あたしは、ゆっくり立ち上がって…玄関のドアを開けた。

「…え?」

映くんはあたしの泣き顔を見て、丸い目をしてる。

「どした?何があった?」

「…別に何も…」

うつむいてそう言うと。

「電話したら携帯繋がんねーし…心配で来てみたけど…何があったんだよ。」

「…何でもない。」

「なんでもない顔じゃねーだろ。」

映くんはあたしの顎を持ち上げて、顔を上に向かせて。

「まだ打ち合わせがあるから、そんなに時間ないんだ。さっさと言え。」

早口に言った。

その言葉に…あたしはカチンと来てしまって。

「…時間取れないって言ってたじゃない。来なくて良かったのに。」

映くんの目を見ずに言った。

「あ?だから電話したのに、電源落としてるからだろ?」

「もう…もう、いい。」

あたしは映くんの手を振り払って。

「違う男の人の名前呼ぶような女、嫌いになったんでしょ。」

低い声で言った。

「…は?まだそんな事言ってんのかよ。」

「だって…あれからずっと…映くん冷たい。」

「……」

あたしの言葉に映くんは無言になった。

そして…大きく溜息をつくと。

「そーだな…ま、気分は良くなかったからな。でも、こっちは意識しないようにしてたつもりだけど、朝子ちゃんはそんな事ばっか考えてたんだ?」

映くんは…呆れたような口調で言った。

「分かったよ。急ぎ過ぎた俺が悪かった。」

「……」

「しばらく…会うのやめよう。」

「え…」

「お互い、本当に必要なら…そういうのが分かり合える時が来るだろうから。」

あたしは…

映くんが何を言ってドアを閉めたのか、分からなかった。

ただ…

『しばらく会うのやめよう』って言葉だけが。

あたしの中に残った。


「……」

映くんに、しばらく会うのをやめようって言われて。

あたしは放心状態のまま…部屋の中に座り込んだ。

テーブルの上には…買ったばかりのCDと雑誌。

…バカだな…

あたし。

本当に…バカだな…


映くんが表紙になっているベースの雑誌を袋から取り出して。

パラパラとページをめくった。

どのページにも…余所行きの顔みたいな映くんがいて。

ここで…あたしの膝枕で寝てた彼とか…

あたしの作った料理を食べて、ニヤけるって笑ってた彼とは違う。


…どっちが…映くん?


涙が止まらなくて。

泣きながらページをめくり続けてると…

「………え。」

見覚えのある顔が…そこにあった。

「…え?え?」

あたしは食い入るように、そのページを見つめた。


『若き敏腕プロデューサー ハリー・エリオット』

ハリー・エリオット…

『DEEBEEのプロデューサーとしても知られるハリー・エリオット。しかし彼の名前を知る人の多くが、『彼は最高のPAエンジニアだ』と評価する。そのハリー・エリオットが、現在はアメリカ事務所で若手ミュージシャンのデビューアルバムを手掛けていた彼が、この夏ビートランドで開催されたイベントで指揮を取った。彼の作りだした音の空間は、今後の活動の拠点を日本に置かざるを得ないほどビートランドの上層部に認められたようだ』

「き…拠点を日本に…って…DEEBEEの…プロデューサー…って…」

あたしは雑誌を手に、わなわなと震えた。

って事は…よ?

この人…映くんと…知り合い…って事?

か…神様。

なんて…

なんて意地悪なの…!?


雑誌に載ってた『ハリー・エリオット』…

金髪の、爽やか系の男性は…


あたしの…初めての相手で…


あんなことやこんな事を…



教えてくれた男だ…。

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