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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/09 15:03:42

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「うん。美味い。ダメだ…ニヤける。」

あたしの作ったシチューを食べながら、映くんは口を押えた。

「嬉しい。」

あたしも…笑顔になる。

ああ…いいのかな…

こんなに幸せで。


今夜は、もう…泊まる事前提で来てもらったし…

あたしも…毎日ドキドキしながら…心の準備もした。


シャワーして…お布団敷いて…

「いい?」

って聞かれて…

あたしは…頷くしかなかった。


大丈夫…だよね…?

海くんは…あたしとはできなかったけど…

映くんは…

大丈夫だよね…?


体が緊張してしまったんだと思う。

あたしが、映くんの背中に回した手に、ギュッと力を入れ過ぎたせいか…

「…力抜いて。」

耳元で言われた。

「朝子ちゃん…初めて?」

「……」

はっ…と。

そこで…気付いた。

手を繋ぐのも初めてで…

こんなに…男の人に免疫なさそうな女…

そりゃあ、初めてだって思うよね…?

だけどあたし…

…見ず知らずの男に…初めてを捧げてしまった。

しかも…二日連続で…

あああああああ。

今になって、後悔…


「う…」

ううん。

って…

言おうとしたけど…

「嫌だったり、痛かったりしたら言って。」

映くんは…

どう受け取ったのか。

そう…優しく言った。


嫌でも…痛くも…なかった。

映くんは、ずっと優しくて。

あたしは、お互いが好きっていう気持ちがあるからなのか…

「あっ…あ…」

すごく気持ち良くて…

「…朝子ちゃん…好きだ…」

耳元で繰り返されるその言葉に。

あたしは、すごく…幸せを感じて。

映くんの事、本当に…大好きって思えて。

「あたしも…好き……っ…大好き…」

そう…言えたのに…


「あ……んっ…」

お互いが果てて…

ギュッと抱きしめられて…

「朝子…」

映くんが、あたしの名前を…呼び捨てにして。

なぜかあたしはその時…

「…海く…」

「……」

「……」

一瞬…映くんが…息を飲んだ気がした。

「…誰かと間違えた?」

映くんは、笑ってるような感じで言ったけど…

少しだけ…いつもより…冷ややかな声だった。


…あたし…最低…。


「…シャワーしてくる。」

映くんがそう言って立ち上がった。

「あっ…あの…」

「…一緒に行く?」

あたしが声をかけると、映くんは…普通にそう言ったけど…

…普通じゃない…よね。

口元は笑ってるけど…

…目が。

違う…気がする…


「…うん…行く…」

意を決して言うと。

「…無理すんなって。さっきの事で気を使ってるんだったら…別にいーから。」

「でも…」

「いーから。」

「……」

気が抜けたように…バスルームのドアが閉まる音を聞いた。

…あたし…バカだよ…

もし、映くんが他の女の子の名前言ったら…

あたし…ショックで立ち直れないかもしれない…

唇を噛みしめてると、涙が出て来た。

…どうして?

どうして…海くんの名前なんて…

もう、終わった事なのに…

ううん…

始まってもなかったようなもんだよ…

海くんは、あたしを好きなんかじゃなかったし…


一度に色んな感情が湧いて。

あたしは脱ぎ捨ててた物を着て、ベランダに出る。


こんなに…あたしに幸せな気持ちをくれてる映くんに…

あたし…最悪…

なんて酷い事しちゃったんだろう…


涙が次から次へと溢れて、止めようと思っても止まらなくて…


「…風邪ひくぞ。」

気が付いたら、映くんがシャワーから出て…後ろからあたしを抱きしめた。

「……」

「…気にすんなって言っても、無理か。」

「……ごめんなさ…」

「…悪い。俺も…気になったのに気にしてないフリした。言い訳してくれ。」

「……」

「そしたら、お互い少しは楽んなるだろ?」

映くん…どこまで優しいの…?


「…あたし…」

「うん。」

「…許嫁がいて…」

「え?」

「…婚約して…一緒に暮らしたけど…上手くいかなくて…別れたの…」

「……」

映くんは、あたしの頭に頬を寄せて…体を揺らした。

「彼は…色んなストレスを抱えてて…その…それで…あたしと…できなくて…」

「…一度も?」

「…うん…」

「…それで?」

「それで…あたし…女として…魅力がないんだ…って…惨めになった…だから…映くんが、もし…」

「…出来なかったら、どうしようって?」

「…うん…」

「で、出来たけど…その男なら良かったなー…って名前が出たのか?」

「違う!!」

あたしは映くんの顔を見上げる。

…怒った顔…?

「…ごめん。意地悪を言うのは、今ので最後。」

「…朝子って…呼ばれたから…」

「……」

「つい…」

「……分かったよ。朝子『ちゃん』。」


その…

とってつけたような『ちゃん』が…

あたしの胸を締め付けた。

映くんは…きっともう…

あたしを呼び捨てにはしない…


あたし…

バカ正直に…全部話して…



…本当に、バカじゃないの?

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9~12、連続更新でした。

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