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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/08 18:32:54

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「お酒がいいですか?お茶がいいですか?」

ポケットに手を突っ込んで問いかけると。

「仲良く飲む気はないわ。」

薫さんは、冷たい声。

「でもさっさと済む話じゃないんでしょ?」

「……」

「だったら、どこか行きましょう。立ち話で風邪ひくの嫌なんで。」

あたしの言葉に、薫さんは渋々と歩き始めた。

この人も、声を職業としてる人。

風邪はひきたくないはずだ。


だけど…今どうしてるんだろ。

あのゴシップが出回った後、薫さんはビートランドを辞めた。

その後の事なんて、あたしは気にも留めてなかったけど…


「あなた…栞と華音の事は知ってるの?」

ダリアの一番奥の席。

座ってすぐ、薫さんは言った。

栞…

薫さんのお姉さん。

「知ってるって言うか…ノンくんから聞きました。」

「どうせ都合のいいようにしか言わないわよね。」

薫さんは、吐き捨てるように言った。

「栞は…」

「……」

「妊娠してたのよ。」

「……」

「華音の子供よ。」

「……」

でもノンくん…

栞さんとはそういう関係じゃなかった…って。

あたしが眉間にしわを寄せて考えてると。

「わざわざ遠い街の産婦人科に、二人で通院してたわ。」

目の前に、手帳が投げ出された。

それは…母子手帳で…

一気に、心臓が変な音をたてはじめた。

その母子手帳と一緒に、細いスケジュール帳もあって。

「それ、開いてよ。」

薫さんに言われて…あたしはそれを開いた。

すると…

『病院。華音が同行。やっぱり居てくれると心強い』

『病院。『旦那さんはこちらに』って言われて、華音が困ったような照れたような顔をした』

『病院。授業もあるのに、いつもごめんねって謝ると、華音は『俺の責任でもあるから』って。責任なんて…』


「……」

パチパチと、瞬きをした。

見た事もない栞さんとノンくんのツーショットを、簡単に…そこに見た気がした。

何も…言葉が出なかった。

ノンくんは…付き合ってないって言ったよ?

だけど…

どうだったっけ…

俺も男だ。

女と何もなかったわけじゃない。

…そんな事は…言ってた。

ただ、それに…栞さんが含まれてたかどうか…

ハッキリ覚えてない。

でも、噂になってる人達とは、何もなかったって言ってた。

だとしたら、栞さんと薫さんとは…何もなかったって…事だよね?


…ノンくんはお人好しだ。

だから、自分のせいじゃないとしても、誰かのために何かをする。

ましてや…栞さんは、ノンくんを周りから守ろうとしてくれた人。

だったら…

栞さんが苦しんでたら、助けちゃうよ。

…うん。

あたしは…


ノンくんを信じればいいだけだ。

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