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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/08 09:02:51

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「紅美ちゃん…来てくれて、ありがと…」

今日は沙都から見送りに来て。って言われたのもあって。

あたしは、空港に来ている。

曽根さんは、沙都と一緒の便に乗りたかったのに、グレイスから招集がかかって一足早く渡米した。


「あずきでは…ごめん。」

沙都が小さく謝った。

「ううん。」

あたしが首を振ると。

「それで…もう一度、ちゃんと言いたくて…」

「何?」

沙都はあたしの手を取ると…

「紅美ちゃん。」

「ん?」

「僕と…結婚してくれない?」

いきなり、プロポーズした。

「僕には…一生かけて、紅美ちゃんしかいないって思ってる。」

「沙都…」

一生かけて…なんて…

「今すぐ答えて欲しい。」

「今すぐって…」

そんなの無理だよ。

沙都の事、大事だからこそ…即答なんて出来ない。

あたしが戸惑ってると。

「言ってやれよ。結婚はできないって。」

え。って思った時には、腕を掴まれて…抱き寄せられてた。

見上げると…ノンくん。

「…また邪魔しに来た。」

沙都が嫌な顔をする。

「おまえがしろって言ったようなもんだろ。」

「ふーん。じゃ、その気になったんだ?僕は紅美ちゃんにプロポーズしたよ。本気で…一生僕のそばにいて欲しいから。」

「……」

沙都の言葉に、ノンくんは無言。

あたしは…この状況が何なのか…

よく分からないまま。


えっと…

ノンくん、あたしの事は無理って言ったのに…

何でこんな事してるわけ?


「…紅美。」

意を決したような、ノンくんの声。

「…何。」

「沙都と結婚するな。」

「…え?」

「おまえはまだ…しばらく一人でいた方がいい。」

視界の隅っこに、カクッとなった沙都が見えたような気がした。

あたしは…

「…ごめん、沙都。」

沙都に向き直って言う。

「ノンくんがそう言ったからとかじゃなくて…今すぐ返事をして欲しいって言われたら…ごめんとしか言えない。」

「……」

「あたしには、まだ…やりたい事があって。沙都についてアメリカに行けないし…もしあたしを手に入れたら、また安心して音信不通になる沙都を嫌いになるのもイヤ。」

あたしの言葉に、沙都は苦笑い。

「…沙都は居心地良くて…甘え過ぎてた。」

「…僕だって。」

沙都は、ノンくんの手をあたしの腕から剥がすようにして離すと。

「…もし、これから紅美ちゃんが恋をして…」

あたしを、ゆっくり抱きしめた。

「誰かと結婚して…そいつが紅美ちゃんを泣かせたら…」

沙都の声は…本当に、癒し効果があるんだろうな…なんて。

あたしは、その声を耳元で聞いていた。

「ほんと…許さない。いつでも僕の所に逃げておいでよ。」

「…頼もしいね。」

「幸せになってくれるのが一番だけど、僕はいつでも…紅美ちゃんの逃げ場所になるから。」

沙都の腕。

沙都の胸。

昔から…変わらない。

ううん…変わった。

可愛い沙都は、大人になって。

あたしが守ってたのに…あたしを守るって言うようになった。


だけど…

もう、お互い…


やっと。

今度こそ…


卒業だね…。

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