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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/06 15:28:29

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「……」

庭のベンチに座って、泣いて火照った頬を夜風で冷やしてると。

「……」

「……」

右に海くん。

左にノンくんが座って。

「……」

「……」

「…食うか?」

ふいに、海くんが手に持ってた小皿を差し出した。

…リンゴ。

きれいに剥いてある。

「…要らない。」

「そうか…」

「じゃ、俺が食う。」

ノンくんが、あたしの前から手を伸ばしてリンゴを取った。

それに釣られたように、海くんも一つ。

…シャリシャリシャリ…

二人がリンゴを食べる音だけが、響き渡る。


…慰めようとして出て来てくれたのかな…

あー…ほんと…あたしって…

迷惑な奴…

部屋に入れば良かったよ…

シャリシャリシャリ…ガリッ。

え。

「い゛っれ゛!!」

リンゴを食べる音に混じって…凄まじい音が…

「ははっ。舌噛んだのかよ。思い切りだったな。」

海くんが笑う。

当のノンくんは、口を押えて悶絶中。

「…す…すごい音したけど…」

「~……」

芝生に手を着いて、四つ這いになったノンくんは。

言葉も発せられないほど。

「見せてみ?」

海くんがノンくんの前に回って顎を持ち上げた。

それが何だか…

男前同士のキスシーンみたいに見えて…

「…ふ…」

つい、笑ってしまった。

「…何か笑われるような事でも?」

海くんが眉をしかめた。

「…キスしそう。」

あたしがそう言うと。

「なるほど…涙目の華音には、なかなかそそられるな。」

「バカか。」

「あー…血出てるぜ?」

「…リンゴで紛らわせる。」

「また噛むなよ?」

「噛まねえよ。離せ。」

ノンくんは痛がりながらも、二つ目のリンゴを手にした。

それを見てると…あたしも食べたくなって。

小皿から一つ取って食べた。

しばらくそうしてると…

「…僕も。」

沙都が…出て来た。

「……」

「……」

「……」

沙都はあたし達の前、芝生にあぐらをかいて座って。

下を向いたまま、リンゴを食べる。

ノンくんと海くんは、あたし越しに顔を見合わせたりしてるけど…

あたしは、言葉を出さずにいた。

すると…

「…また、今日からライバルだよ。」

うつむいたまま、沙都が言った。

「僕はフラれたけど…まだ諦めないから。」

その沙都の言葉に。

「女心を解ってなひ男は、諦めた方がひーんじゃねーか?」

ノンくんが『い』を言いにくそうにそう言いながら、あたしの肩に手を掛けた。

「…何これ。」

あたしがノンくんを見て、眉間にしわを寄せて言うと。

「ま、近くにいるだけで、手を出せない奥手も無理だと思うけどな。」

そう言って、海くんも…あたしの肩に手を掛けた。

そんな二人を見上げて、沙都はムッとしたけど。

「…あたし、今はバンドに懸けるから。」

あたしはそう言って立ち上がる。

沙都じゃないけど…

あたしも、音楽だけに…夢中になりたい。


ベンチから離れると。

「…だってさ。」

そう言って、沙都が二人の間に座った。


三人並んで座った姿を。

リビングの窓から沙也伽が見て笑ってて。

なぜか、その奥では…

テーブルに突っ伏して泣いてる風な曽根さんの姿が見えた。

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