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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/06 11:42:30

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「沙都。」

部屋の外で声をかけると、返事は聞こえなかった。

…疲れて眠ってるのかな。


「入るよ。」

返事を待たずに部屋に入ると、沙都はベッドに横になってた。

目の上に腕を乗せて…その表情は分からない。


「…大丈夫?」

ノンくんに殴られた頬を触ると。

「…紅美ちゃん、ごめん…」

いきなり謝られた。

「何が。」

「…連絡できなくて…」

「……」

「食事の前に…シャワーの前に…たった一言…さっき…ノンくんに言われるまで…気付かなかった。」

あまりにも沙都らしくて、ちょっと笑えた。

「本当に忙しくて…食事ができると思ったら、もうそれしか考えられなくて。シャワーだってそう。それぐらい余裕がなくて。」

「うん。いいよ。」

「…良くないよ…だって、もし反対の立場だったら…僕、もう寂しくて死んでるかもしれない。」

あんたはウサギか。

言いそうになってやめた。

「…寂しかったよね…」

沙都は体を起こして、あたしの肩を抱き寄せた。

「…寂しかったけど、もう…それは乗り越えたかな。」

「……」

「あたし…本当は、沙都のプロポーズ、受けるつもりだったんだ。」

「…え?」

沙都はあたしから離れて、驚いた顔のまま…あたしを見つめた。

「結婚さえしてれば…離れてても不安はないかなって。だけど、撤回されて…ああ…って気持ちが萎んじゃって。」

「……」

「だから、すごく不安で、壊れそうになって…少し病んだかな。」

「…ごめん…ごめんね紅美ちゃん…」

沙都は再びギュッとあたしを抱きしめて、耳元で『ごめんね』ばかりを繰り返した。


「あたし、何であんなに不安だったんだろう…って考えた。」

「……」

「沙都の夢、応援してれば済むだけの話なのに。無駄に神経すり減らすほど…不安で不安で仕方なかった。」

どうして不安だったのか…考えた。

あたしは…

沙都の才能が怖かったんだ。

沙都の声は…売れる。

そして、あたしはどんどん自分が置いて行かれる気がして…

自分に自信をなくした。

沙都とあたしは違うのに。


「沙都がそうしてたから、やり返すわけじゃなくて…あたしも、目の前の事に必死にならなきゃって…やっと思えてる。」

「…もう…僕とは…駄目だって事?」

「沙都はそう思うの?」

「……」

無言の沙都に、少しイラついた。

なんで…大丈夫って言ってくれないの?


「…大丈夫だよ…って、言わないんだね。」

小さく溜息が出た。

あたし達って…そばに居てなんぼ。だったんだな…って、ちょっと笑いかけた。

「今の僕に…そんな事言う資格ないと思って…」

沙都はあたしを抱きしめたまま、小さくつぶやく。

その言葉に…あたしは…


ドン。


沙都の胸を押して、ベッドに倒す。

沙都は驚いた顔。

「じゃ、夢だけ追ってれば。」

あたしは沙都を見下ろして。

「もう、余計な事考えなくて済むように別れよ。」

キッパリと言った。

「…え…」

「あんたの言う好きとか、そばにいたいとか…それって、昔から一緒に居たから、そうじゃないと落ち着かないだけだったんじゃないかな。」

「ち…違うよ!!」

「そ?どう違うの?」

「…それは…僕は…」

「…沙都は、ただ、あたしを好きなのよ。それだけなのよ。」

「……」

「それ以上の気持ちは…」

「……」

「……」

ダメだ。

もう、泣きそうで…これ以上言えない。


海くんやノンくんと色々あって…

あたしを取られるかもしれない。

そう思って、少し頑張ってみたら…あたしが手に入った。

だけど、夢も見付かって…

そうしたら、途端にあたしを守るなんて、重荷になったんだよね。


そう…言おうとしたのに。

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