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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/05 18:04:22

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「久しぶりー!!」

あたしとナナちゃんが雪道を恐る恐る歩いてると言うのに。

ルミちゃんは、走ってやって来て。

「会いたかったー!!」

抱きついた。

「わーっ!!危ないって!!」

「もう。これだから都会人は。」

ルミちゃんは頬をぷうと膨らませて。

「来て来て。早速お昼食べよう。」

これまた…あたしとナナちゃんが追い付けないスピードで歩いた。


ルミちゃんから電話をもらった翌日、慎太郎から『沙都坊がいなくなってへこんでんじゃねーか?』ってメールが来た。

『うるさい。へこんでなんかない。』

って送った後。

『うそ。ちょっと…まいってる。』

って送ってしまった。


今日の訪問は、サプライズって事で…慎太郎には内緒にして来た。

どんな顔するかな。


「慎太郎ー、今日はビックリなお客様よー。」

ルミちゃんがそう言って、慎太郎の家の引き戸を開けると。

中から、ルミちゃんの旦那さんが出て来た。

「あ、いらっしゃい。」

「こんにちは。いい魚に釣られてやって来ました。」

「あはは。どうぞどうぞ。慎太郎も元気が出るよ。」

「…?」

何?と思って…中に入ると…

「え…」

驚いた声を出したのは、ナナちゃんだった。

慎太郎は…

ベッドに横になって、眠ってる…んだけど…


ルミちゃんを振り返ると。

「その日その日で調子が変わるからね…でも、もうすぐ起きると思うよ?」

笑顔。

でも…

最後にもらった写真が、漁に出てた物だったから…

こんなに…痩せ細った慎太郎…

「……」

「頑張ってるんだよ。慎太郎。」

…確かに…

告げられた余命より、もう…一年以上は…生きてる。

だけど…

こんな状態だったなんて…


「慎太郎がさ…みんなが頑張ってる時に、余計な心配かけたくないって。」

ルミちゃんがそう言って、慎太郎を振り返った。

「バカでしょ。カッコつけて。でもね…ここには毎日誰かが来て、慎太郎が眠ってても賑やかに笑うの。そうしたら、慎太郎…うるせーよって起きるんだ。」

ナナちゃんとあたしは…しばらく声を失ったままだった。

慎太郎の姿は…ヘヴンの時の面影はない。

「んもぉっ、イケメンでいる間に会わせてくれたら良かったのにっ。」

ナナちゃんがそう言うと。

慎太郎の目元がピクリと動いた気がした。


「さ、みんなで食べようよ。慎太郎の餌場で獲れた魚、美味しいんだよ?」

ルミちゃんが台所からたくさんの料理を運んでくれて。

「ルミ、これも食べてもらえ。」

旦那さんが、次々と新鮮な刺身を持って来てくれた。

「確実に太るわね。」

ナナちゃんに耳打ちされて、笑った。

あたし達三人は、慎太郎を囲んで。

ヘヴンの話をしながら笑った。

妊娠中のマキちゃんが、みんなの写真をアメリカの家に飾ってる事を話すと、ルミちゃんは『えー!!あたしがアメリカにいるみたいで嬉しい!!』と言って、あたしを大笑いさせた。

しばらくすると、慎太郎が大あくびと共に目を覚まして。

「…うるせーな…」

低い声でそう言った。

「ね?」

「ぷっ…ほんとだ。」

「…何がほんとだ…だよ。」


ゆっくりと起き上がった慎太郎は、あたしとナナちゃんを見て。

「…ヘヴンの夢見たと思ったら…おまえらか。」

ニッと笑った。


料理はどれも美味しかった。

慎太郎は時々口元を緩ませて。

あたしの手を握ったり、ナナちゃんの手を握ったりした。

「女なら誰でもいいの?このスケコマシ。」

ルミちゃんがそう言うと、ルミちゃんにだけ『しっしっ』って言って、みんなで笑った。

…笑った。

慎太郎とは…

もうすぐ別れの時が来るかもしれない。

そう分かっても…


笑えた。

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