エルマさんのブログ

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徒然でもございません③

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/04 11:41:55

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つくづく人間とは真面目な生き物だと思う。こんなに今日という日が憂鬱なのに、決まった時間に目覚め身支度をし流れ作業のように玄関までたどり着くのだから。

 この期に及んで健康に気を使っているわけでもないが、春から自転車通勤に切り替えた。自転車ブームに乗ったわけではなく、満員のバスに揺られる自分が路肩のショウウィンドウに映った時・・・たまらなく嫌な気分になったからだ。上手く言葉には出来ないが。
 愛車は9段ギアのクロスバイク。会社の近所に出来たサイクルショップで店員が通勤30分なら絶対これだと押してきた。おしゃれなママチャリ狙いだったが、駐輪場がうちのアパートには無い事に気付き、止めようと思ったが好青年な店員が片手で運べるし今なら専用のカバーも付くなど、通販の宣伝かと思う手口で私の心を持って行った。6万もしたが、実は気に入ってる。

 今日も、会社到着は7時。更衣室で汗を拭きとり、着替える。このまま事務所ではなく、向いに出来たカフェにて朝食だ。このカフェが出来てからは、8時半の始業までここで朝食を食べつつネットニュースを徘徊。今朝のモーニングは玄米おにぎり2つと、キッシュにアスパラのサラダ。じゃがいものスープ、ヨーグルトと、ヘルシーかつしっかりメニュー。すごい事に、メニューが同じだったことが無い。マスターを嫁にしたいよ。

 ―単身赴任のサラリーマンが、実家のお母さんを思い出してるかのような顔ですね。おはようございます。

 やばい!久しぶりに言葉が返せない驚きだ。「なぜここに」と3回は言ってるのに声にならない。

 ―ごめんごめん。驚かしたね。早めに着いたから、コーヒー飲んでこうと思ってさ。そんな幸せそうな君の顔見れるなんてのはラッキーだったね。

 落ち着け自分。会うのが数年ぶりなのもあるが、さすがイケメン!登場の仕方も朝からさわやか過ぎる。眩しい。

 ―んんっ、おはようございます。お早いですね。直接こちらへご出勤とは存じませんでした。

 なんだ、仰々しい文言がポロポロと。上手くしゃべれないこの状況に、逃げ出したいぞ。

 ―かったいね。
 ニコッと笑って見せる本社事業部主任様に、私は目をそらしてしまった。

 ―俺、タイミング悪かったですか?俺もね、今日は初めて部下らしい部下引き連れての支社見学で緊張してて、一本早い電車で出ちゃって、いくらなんでも速すぎてどうしようかって時に、君を見つけてホッとしたんですよ。俺可愛いと思いませんかね。

 落ち着いてきたよ。私も主任様との距離感思い出したんで、もう大丈夫ですよ。

 ―ごめんなさい。朝、この時間ってうちの社の人間も来ないし、正直私だけの空間気取りで毎日を過ごしてたもんで。驚きと恥ずかしさで変な反応しちゃいました。ついでに、俺様にも人並みの可愛いところがあって安心しました。

 ―なんだよ。普通になってるし。つまんないねぇ。

 私と彼は、大学が同じで専攻科も一緒で、じつは結構仲の良い友人関係だった。就職氷河期でそれぞれが必死で、新入社員研修まで同じ会社だったことに気付かなかった。今となっては誰も知らないが、私も本社採用だった。入社間もなく、支社の新規立ち上げに私の指導係だった総務主任が立ち上げスタッフになり私もおまけ的にここへ来た。主任は一年で戻っていったが、私は残されたのだ。

 ―おはようございまーす。
 ―おはようございます。本日はお世話になります。

 始業15分前に、彼と一緒に事務所に戻ったもんで、女子社員と一部上司(特にクソ部長)があからさまに驚いていた。

 ―先輩!なんで同伴なんですか?

 同伴て。ここはどこのお店だよ。

 ―向いのカフェで会ったのよ。

 ももちゃんは、会社の裏手から出勤するので、気付かなかったんだろう。気付いてたら、店まで来てたろうな。

 ―お二人は、元々お知り合いなんですね。まるで付き合いたての恋人同の様でしたよ。立ち止まって見ている私に気付かないほどでしたしね。先輩、可愛かったですよ。

 ―ぬぉ・・・!!!

 吉田さん。あんたはしっかり見てたんかい。立ち止まってって・・・。じゃー、声かければいいじゃん。

 ―大学からの付き合い。元々仲はいいのよ。でも、私がこっち来てからは疎遠になってたし、向こうは結婚間近って相手もいたから連絡とかも取らなかったしね。

 そういえば、彼女いたのに。まだ結婚したって聞いてないな。

 ―もったいないですよ先輩!彼女至って良いじゃないですかぁ。紹介してくださいよぉー。

 文句を言いながら、勝ち取ったお茶出し係をすべく給湯室へ戦闘モードで乗り込んでいった。さすが、今週はエステとリンパマッサージで化粧のノリも張りツヤも完璧だよ。美魔女だよ。

 ―その彼女は、同期の大野さんに略奪されましたよ。大野さん、変な時期に辞めたじゃないですか。

 ―え?・・・!!!マジか?
 ―嘘や冗談は得意じゃないんで。

 はい。吉田さん。本当なんですね。
 大野さんは有名大卒のキャリア候補だった。取引先の捏ね入社との噂もあったが、チャラい印象では有った。

 会議室で、涼しい顔で話す彼の横顔から目が離せなくなった。む、胸が何だか苦しいです・・・・(;´・ω・)
                      つづく

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