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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/04 18:49:45

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「…ちわ。」

「よお。」

俺は椅子に座ってすぐ。

ベッドの脇に頭を乗せた。

「ははっ。まいってるっぽいな。」

「まいってるって分かるんなら笑うなよ。」

たぶん…ここ三日ぐらいはたくさん人が来るだろうと思って。

少し日を開けて…来た。

俺のじーさん…高原さんは、俺の頭に手を置いてポンポンとすると。

「千里も光史もマノンも、陸も紅美も沙都も沙也伽も、みんな時間差で来た。いっぺんに来てくれたら楽なのにな。」

「…しかも、かぶってねーとこがすげーな。」

「まったくだ。」

そのまま俺は、しばらくベッドに頭を乗せたまま無言でいた。

そんな俺の頭を撫でるでもなく。

じーさんは…頭の上に手を置いたままだった。


「…親父に聞いたんだけどさ…」

「ああ…グレイスの事か。」

「うん…グレイスに…沙都の事、ゴーサイン出したって…」

「ああ、出した。グレイスが言うなら、沙都の歌はホンモノだろう。」

「その時…俺らの事は?」

「ビジネスだからな。」

「……」

「DANGERのベーシストは、沙都じゃなくてもいける。」

「…そう来たか…」

俺は溜息をつきながら体を起こす。

「…沙都は…紅美を連れて行きたがってる。」

「みたいだな。おまえは、どうしたい?」

「え?」

「あいつらを、どうしてやりたいと思う?」

「……」

じーさんの言葉に、即答は出来なかった。

即答出来ないと言う事は…

今から口に出す言葉は、力は持たないって事だ。


「…きれいごとで言えば…応援してやりたいよ。沙都のデビューも、二人の仲も。」

「本音は?」

「…沙都には…本当にそれが沙都の夢になってるなら、追って欲しいと思うけど…」

「けど?」

「…紅美には行かせたくない。」

俺がじーさんの目を見て言うと。

「それを紅美に言ったか?」

じーさんは少し笑いながら言った。

「…言わねーよ。」

「なんで。」

「決めるのは紅美だ。」

「一人で決めさせるのか?」

「仕方ねーだろ?あいつらの問題に…」

「おまえは沙都をDANGERの問題として見てるのに、どうして紅美の事は個人の問題にする?」

「……」

「本音を言って、去られるのが怖いのか?」

「……」

な…

なんなんだよ、このじーさんは。

「決めるのは紅美だ?おまえが言ってるのは、自分を守るための言葉だ。」

「……」

「もっと貪欲になれ。欲しいものはちゃんと欲しがれ。」

じーさんの言葉と、目の力が…

今の俺には強すぎた。

確かに俺は、ずっと自分を守って来たのかもしれない。

栞の自殺から…人の気持ちに対して臆病になってしまった。

最終的に、何もかも…決めるのは自分だ。

そうだろ?


「紅美が沙都を選ぼうが、DANGERを選ぼうが、それについて俺には…何も言う権利はない。」

「ないか?同じバンドなのに?」

「……」

「さくらが、誰も何も教えてくれないって、ぶーたれてたぜ。」

「…ばーちゃんに話したら、動かれるからゴメンだ。」

「ふっ。さくらに動かれたくないなら、まず自分で動け。それか…素直に全部打ち明けて、さくらの企みに乗っかってみる事だな。」

ふいに…シェアハウスを思い出した。

ばーちゃんの発想は、俺にはないものばかりだ。

「恐ろしいぐらいのババコンで、自分じゃ何もできねーって思われるのは嫌だから、乗っからない。」

俺が首をすくめながら言うと。

「あははは。ほんとおまえは可愛い奴だ。」

じーさんはそう言って、俺の頭を抱き寄せた。

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