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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/04 14:09:56

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「良かった…来てくれて。」

沙都に電話をしても、ずっと出てくれなかった。

何度も連絡をして、留守電とメールを繰り返して…

夜になってようやく…事務所のプライベートルームに来てくれた。


沙也伽とノンくんには帰ってもらって。

あたしはずっと一人で…

ギターを弾きながら、沙都を待ってた。

待つ間…

ずっと、色々考えた。

これからの、あたしと沙都の事…

バンドの事…

そして…夢…


「…遅くなってごめん…」

沙都は少し疲れた顔をしてた。

「どこに行ってたの?」

「…音楽屋のベースのブースで、ずっとベース弾いてた。」

「ふふっ…迷惑な客。」

「…だよね…」

「…沙都。」

あたしは沙都を抱きしめる。

背中に手を回して…指先にまで、気持ちをこめた。

「…プロポーズ、ありがと。すごく…ドキドキした。」

「…困らせただけじゃ…?」

「ううん。嬉しいに決まってるじゃん。」

「……」

沙都はあたしを抱きしめて。

「紅美ちゃん…離れたくないよ…」

あたしの額に唇を落とした。

「…色々考えたの。」

「…うん…」

「あたしも、沙都と一緒にいたい。だけど、DANGERを捨てたくもないの。」

「……」

「沙都は…もういいじゃないって思ってるかもしれないけど…あたしの夢は、デビューで終わったわけじゃないよ。これから先も…みんなでやってく事。これが、夢だよ。」

あたしの言葉に、沙都は何か言いたそうだったけど…飲み込んだ。


「でも、沙都の新しい夢…ソロデビューなんてさ…すごいよ。グレイスが進めてるプロジェクト、世界発信なんだってね。ほんと…すごい。沙都が認められたって、誇らしい。」

「……」

「応援したいって思う。だから…沙都は…DANGERを続けられなくても…仕方ないと思う。」

「…でも…紅美ちゃんは続けるんだ?」

「あたしも沙都もいなくなったら、どうにもなんないよ。」

「……」

「活動に制限は出来ちゃうかもしれないけど…どうにか上手くやっていけないかなって思う。きっとノンくんと沙也伽は分かってくれるはずだから、何とかDANGERが存続してやっていける方法を考えながら…」

あたしが話してる途中。

沙都は、あたしから…ゆっくり離れた。

「…沙都?」

「…もし僕が世界ツアーに出たりして…」

「うん。」

「…それに同行するとか…そういう気はないって事?」

「……」

「僕は、紅美ちゃんと離れたくない。」

「…沙都は…あたしに、もう…歌うなって言ってる?」

あたしは…

沙都から目を離さなかった。

分かって欲しかった。

あたしの夢は終わってない事。

ノンくんと沙也伽は仲間である事。

DANGERを終わらせるわけにはいかない事。

分かって…欲しい。



「沙都が世界に挑戦するのは、いい事だと思う。」

「……」

「だけど…どうしても抜けなきゃならない?」

沙都はあたしからゆっくりと視線を外して。

「…紅美ちゃんは、僕が成功するわけないって思ってる?」

低い声で言った。

「どうして?」

「成功しなかった時、戻ってくればいいじゃないかって…そう言ってるように聞こえるから。」

「…そうじゃないよ。」

…ううん。

そう…思ってる所があったのかもしれない。

ずっとベーシストとしてやって来て。

打ち上げの余興として…歌っただけの沙都が。

いきなり世界へ出て…成功するわけがない。

あたしは…

もしかしたら、ボーカリストの意地として。

沙都に…嫉妬していた部分があるのかもしれない。


「…そう…だね。ごめん。もしかしたら、そう思ってるのかも…」

沙都の手を取って、正直にそう言うと。

「…誰だって…信じられないよね…僕だって、半信半疑だよ。だけど…自分にどれだけの力があるか…試したいって…生まれて初めて感じてるんだ。」

沙都は何かを…諦めたような声で言った。

「いきなり成功するなんて、思ってないよ。だけど…チャンスをもらえるなら…それに賭けてみたいって思ったんだ。」

「…そう思ったキッカケって、何なの?」

ノンくんに聞いた。

沙都は最初…グレイスからの申し出を即答で断ってる、と。

「…海くんにも、ノンくんにも…」

沙都はあたしの肩を抱き寄せて…それから、ギュッと抱きしめて。

「僕は…海くんにもノンくんにも勝てないって思ってた。」

あたしの耳元で言った。

「勝てないって…」

「海くんは二階堂を背負ってる人で…ノンくんにはブレない夢があって、それは…僕だって。って思う反面、ノンくんの方がずっと…紅美ちゃんに近くて…」

「沙都、待ってよ。そこにあたしの気持ちは入れてくれてる?あたしの気持ちは無視したまま、沙都が勝手に…」

「そうだよ。」

「…沙都…」

「勝手に、あの二人に勝てないって苦しんでた僕がバカなんだよ。紅美ちゃんは僕を好きって言ってくれたのに。」

「…それなら…」

「だけど。だけどさ…僕だって、誰よりも誇れる何かがあるって言われたら…それに賭けたくなったんだよ。それで自信をつけて…」

「……」

「紅美ちゃんは、僕だけのものだ…って。もっと堂々と言える男になりたくて…」

「沙都…」

どうしたら…?

どうしたら、伝わるの?

あたしは、沙都が好き。

それじゃ…ダメなの?


あたしが…

海くんやノンくんにフラフラしてたから…

沙都は…

こんな気持ちを抱えてしまったんだ…。

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