ブログランキング7

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2428
  • 読者 650
  • 昨日のアクセス数 34254

テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/04 11:50:50

  • 73
  • 0

「え?今から?」

『うん。』

「いいけど…」

『じゃ、今から行くから。』

「うん。気を付けてね。」


大晦日。

わっちゃんと空ちゃんのマンションから帰って、両親と学とチョコとでご飯を食べた。

さあ、お風呂入って…初詣に行く支度をしようかな。

なんて思ってると…電話が。


電話の主は、沙都。


ダリアで待ち合わせて、初詣に行こうって約束してたんだけど。

いきなり…

『話があるから、今から家に行っていいかな。』


…なんだろ。

声、暗かった。


落ち着かなかったけど…先にシャワーしちゃえ。と思って、急いでシャワーを浴びた。

髪の毛を乾かしてると…


「紅美ー、沙都ちゃんよー。」

母さんの声。

「はーい。」

ちょうどいい。

あたしは鏡に顔を近付けて。

「よし。」

何がよしか分からないけど…そう言って部屋を出ようと…

「あっ…何だ。ビックリした。」

ドアの前に、沙都がいた。

「…入っていい?」

「え?うん…」

何となく、話って…リビングでするのかと思ったけど。

…父さんと母さんに聞かれたらまずい話?


ドアを大きく開けて、沙都を中に…

「…紅美ちゃん…」

部屋に入ってすぐ、沙都はあたしを抱きしめた。

「…どうしたの?」

沙都の顔…左側の頬にあざ…

ゆっくり触ると、沙都は少し痛そうな顔をした。

「誰かとケンカしたの?」

「…父さんに殴られた。」

「どうして…」

「…出てけって言われた。」

「え?」

あたしは眉間にしわを寄せて沙都を見る。

沙都のお父さんってさ…

早乙女さんと一、二を争うぐらい…温厚な人だよ?

希世が沙也伽を妊娠させた時は、キレて殴ったって聞いたけど…

あたしは妊娠してないし…

て言うか、沙都がお父さんを怒らせるような事をしたとか…

想像つかないんだけど。


「何があったの?」

沙都を座らせて問いかけると。

「…紅美ちゃん。」

沙都はあたしの手を取って。

「僕と…結婚してくれない?」

「………え?」

思いがけない…言葉。

「駄目かな…」

「…あ…えと…急過ぎて…ビックリしてる。」

やだな…すごくドキドキしてるよ。

だって沙都…

目が。

今までと違う感じ…


「…でも…出てけって言われたって…どうして?あたしと結婚したいって事と…関係してるの?」

気になって問いかけると…

「…紅美ちゃん…僕の事、好きって言ったよね…?」

確認された。

「うん…」

隣に座って、沙都の目を見つめる。

沙都…

どうしたの?


「…DANGER…やめて、二人でアメリカ行かない?」

沙都が小さく放った言葉が。

あたしには…嘘に聞こえて。


「え?何言ってるの?」

笑いながら、答えてしまった。

「もう、十分だよね?」

「…え?」

「もう…夢は叶えたよね?」

「……」

沙都の言ってる事が、分からない。

「紅美ちゃん、バンドデビューの夢は叶えたから、もういいよね?次は…僕と結婚する事…それが夢だ、って…思っていいよね?」

「……」

あたしは、沙都に手を握られたまま。

呆然と…沙都を見つめた。


「…沙都…?」

分かんない。

沙都の言ってる事の意味が…

分かんない。

あたしは呆然と沙都を見つめて。

その表情から…何か読み取ろうとしたけど。

沙都は…

「僕…グレイスから、ソロでアメリカデビューしないかって言われて…」

信じられない事を言った。

「……ソロデビュー…?」

「うん。」

「…ベーシストとして…?」

違う。

分かってる。

シンガーとして、だ。

カプリでの沙都を思い出すと…それは頷ける。


「…シンガーとして…」

「……」


沙都の歌には、人を癒す力があった。

グレイスは…それをすぐに感じ取ったんだ…。


「…僕…試してみたいんだ…自分の力が、どこまで通用するのか…」

「……」

沙都が…

シンガーとして…デビュー…

「…DANGER…どうするの…?」

聞くのが怖かった。

だけど…低い声で問いかけたあたしに。

「…抜けるしかないよね…」

沙都は…あっさりとそう言った。


「…あたしは…?」

「だから…結婚して、一緒にアメリカに付いて来て欲しい。」

「……」


あたし…

DANGERを捨てられない。

みんなを裏切れない。

そう思って…

海くんと、逃げる覚悟が出来なかった。


なのに…

沙都は、こんなにもあっさり…

みんなを捨てようとしてるの…?


「…ノンくんと…沙也伽に…」

「…言った。」

「え…っ?」

「…ノンくんと…神さんが来て…みんなで話し合ってて…父さんに殴られた。」

「……」

…何?

じゃあ、沙都は…

「…いつ…そんな話が出たの…?」

そして、いつ…決めたの?

誰にも何も言わずに…


「…デビューライヴの夜…カプリで歌ったのを聴いたグレイスが…」

「……」

「あの夜、紅美ちゃんの部屋からの帰りに…偶然会って…」

「え…」

確か…あの夜。

沙都は、朝まで帰って来なかった。って…海くんが言ってた。

…グレイスと一緒だったって事…?


「あの時は、すぐに断ったよ。だけど…僕自身の夢を持つ気はないのかって…言われて…」

「…沙都自身の夢…?」

「……」

沙都は少し言いにくそうに。

「…紅美ちゃんのために弾く…って言うんじゃなくて…僕が…僕として…」

「……」

…そう…か。

沙都は、今まで…

あたしのために、DANGERをしてたんだ…?


…なんだ…


食いしばってうつむいた。

どう…答えたらいいの?

沙都は、初めて…自分としての夢を持った事になる。

それは…すごく…

嬉しい事だよね?

出来れば、みんなに祝ってもらいたいよね。

だって…デビューだよ?

……だけど…


「…紅美ちゃん…」

あたしの目から、ポロポロと涙がこぼれるのを見て。

沙都は…小さく溜息をついた。

「…ごめん…困らせてるよね…僕…」

「…沙都が…夢を持ったのに…追おうとしてるのに…」

「……」

「応援したい…だけど…沙也伽とノンくんは…どうなるの…?」

「……」

「なんで…決める前に…悩んでる段階ででも…相談してくれなかったの…?」

あたしの言葉に沙都は何度も何かを言いかけてはやめて…

だけど結局…

「…紅美ちゃんは…僕のために…とは…思ってくれないんだね…」

寂しそうに、そう言って…部屋を出て行った。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. 36th 24

    08/06

    「いや、あの…」あたしはビールを手にして、キューッと飲む...

  2. 36th 13

    08/06

    「沙都。」部屋の外で声をかけると、返事は聞こえなかった。...

  1. 8th 37

    05/24

    「…アメリカ?」「そ。おまえら、向こうで一旗揚げる気はな...

  2. 朝霧家のリビングには…家族全員が勢揃い。その上…ノン...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

9/23 編集部Pick up!!

  1. FBの幸せそうな投稿見てイライラ
  2. 誤爆LINEした彼を信用できない
  3. 子あやし疲れ少し休憩していたら

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3