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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/04 10:52:18

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俺は…

何も言葉が見つからなかった。


弟の沙都が、自分の夢を持った。

それは…喜ばしい事だと思う。

だけど…さ。

今までのは?

DANGERとしてのデビューは、沙都の夢じゃなかったのか?

日本でデビューして。

事務所のイベントで、あんなにインパクトのあるステージを見せて。

アメリカでもデビューして…

これからだろ?

なのに…

その絆を築き上げたであろうDANGERを抜けてまで…

なんで…ソロデビューなんて…


俺達DEEBEEは、メンバー脱退を経験したばかりで。

その衝撃とか痛みというのは…痛いほど分かる。

沙也伽とノンくんの気持ちを察すると、迂闊に言葉を出せる気がしなかった。

が…


「…沙都。」

じいちゃんが、言った。

「夢を見るのはええ思う。けどな、なんでメンバーに相談せずに決めたんや?」

それだよ。

なんで相談もなく…


「…反対されると思って…」

沙都の小さな声に…

ガツッ!!

「沙都!!」

…親父が、キレた。

「おまえ…仲間を何だと思ってんだ!!」

「あなた!!やめて!!」

沙都は床に倒れたまま、口元の血を拭うと。

「…悪いと思うよ…」

「悪いと思う?悪いと思うならやめろ。そんな夢は見るな。」

「…悪いと思うけど…もう、決めたんだ…」

沙都のその言葉に…親父は握ってた手を再び振り上げようとしたが…

「やめて下さい。」

それを止めたのは…ノンくんだった。


「…ノンくん…」

ノンくんは親父の前に立って頭を下げると。

「…俺達で…話させて下さい。」

いつになく…力のない声で言った。

…俺の隣の沙也伽は…

親父が沙都を殴った時点で…泣いている。


「…沙也伽。」

肩を抱き寄せると、沙也伽は声を押し殺して泣きながら…

俺の肩に額を当てた。

「……」

…沙都。

おまえ…何考えてんだよ…ほんと…


「沙也伽…話せるか?」

ノンくんが遠慮がちに言ったが…

「…く…紅美は…?」

沙也伽は、必死に声を絞り出して…そう言った。

「……」

「…紅美…は、どう…どうするのよ…沙都…」

まだ、みんながいる中での沙也伽の問いかけに。

沙都は…

「…紅美ちゃんは…」

ノンくんの後ろで、座ったまま。

「…連れて行く。」

「……」

「……」

沙都の言葉は。

ノンくんの目を閉じさせて。

沙也伽の涙を、より流させた。

親父は、沙都に勘当を言い渡して。

神さんは…額に手を当てて首を振った。


…沙都。

夢を見るのは…悪い事じゃないけどさ…


おまえ…


仲間を悲しませてまで…


それを見る価値はあるのか…?

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