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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/02 22:41:31

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「楽しい旅の途中に言いたくないが…」

ホテルのスパで、ノンくんが言った。

「おまえ、あの日グレイスのとこ泊まったってほんとかよ。」

「え…」

僕は…

背筋が凍った。

あの日…って言うのは…

ライヴの夜の事だ。


Lips での二次会の途中。

ノンくんの計らいで、僕は紅美ちゃんを送って行った。

そして…

そこで、まさかの…まさかの展開に。


僕は、今でも紅美ちゃんが大好きで。

本気で、紅美ちゃんの事…守りたい、一生そばにいたいって思ってる。

だから…

紅美ちゃんがキスを受け入れてくれた事。

抱きしめたら、抱きしめ返してくれた事。

僕と…肌を重ね合ってくれた事…

本当に、嬉しかった。


だけど、その反面…

海くんとの事があって、まだ傷が癒えてないのに。

僕は…酔った勢いで、紅美ちゃんに付け込んだ。

その罪悪感がハンパなくて…

しかも、今もきっと紅美ちゃんを好きに違いない海くんとノンくん…

二人に申し訳ない気がした。

二人は大人で。

すごく、正々堂々とって言うか…

むしろ、自分のチャンスさえも僕にくれてる気がするほどで。

だから余計、気が咎めた。


紅美ちゃんのアパートを出て、家に歩いてると。

「サト。」

タクシーが停まって、声をかけられた。

グレイスだった。

「あ、お疲れ様です。」

「今から帰るの?」

「はい。」

「ちょっと話があるの。乗って。」

「え…今から?」

「大事な話よ?」

「…じゃあ…」

僕は、タクシーに乗った。

そして…事務所のそばにある、グレイスの家に行って…

本当に、大事な話をされて…

そのまま、ソファーで眠ってしまった。

目が覚めた時にグレイスはいなくて。

用意された朝食は、もったいないから食べておこう…って食べて…

家に帰ったら…

曽根さんはニヤニヤしてて、海くんは…もう仕事に行ってたけど…

「ニカ、なんか落ち込んでたぜ。やるなー、沙都くん。」

って、肘で突かれた。

「な…何言ってんの。そんなんじゃないよ。」

そう、濁す事しか出来なかった。


ノンくんは、かなり酔い潰れて帰ったらしく…

昼過ぎまで起きて来なかった。

起きて来た時も、酷い二日酔いで…

「…やべ…何も覚えてねーや…」

そう言って、頭を抱えるだけだった。



「…誰に聞いたの?」

「昨日、グレイスから。今更みたいに聞かされた。」

「…他には?」

「他って何だよ。何かあったのかよ。」

「…グレイスの所に泊まったって言うか…もう帰る気力がなかっただけで…話してたら寝落ちしたんだよ。」

「紅美んちの帰りに、なんでグレイスんとこだよ。」

「偶然だよ。タクシーで拾われて…」

「ほんとだろうな。」

「ほんとだよ。」

「……」

ノンくんは納得いってないみたいだったけど、僕が拗ねた顔をすると、溜息交じりに言った。

「…紅美を泣かせるなよ。」

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