ブログランキング9

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2958
  • 読者 710
  • 昨日のアクセス数 22996

テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/02 13:11:18

  • 80
  • 0

「沙都、曽根、迷子になるなよ。」

華音がそう言うと。

「失礼な奴だな。俺らをいくつだと思ってんだよ。なあ、沙都くん。」

「ほんとだよ。迷子なんて、なるわけないじゃん。ねえ、曽根さん。」

沙都とトシは頬を膨らませた。


ライヴの翌朝、華音に打ち明けられた。

「実は、年内に帰国する事になった。」

俺は…相当ショックだったのだと思う。

食事をする手が数分に渡り止まってしまってて。

「…そんなにショックなのか?」

華音に首を傾げて言われるまで、そうしてたなんて…。


ショックだった…んだよな。

シェアが始まった時は、あんなに嫌だと思ってたのに。

この一カ月…憎たらしいぐらい腹の立つ事があっても、俺は意外と快適に生活している。

同年代と過ごす時間が今までなかったのもあって新鮮なのと…

本音をぶつけて、殴り合える奴がいる。

それは…俺にとってすごく大きな変化であり、財産となった。


「それで、曽根がいる間に旅に出ようって話になってさ。」

「えっ!!なんだよ~キリ、優しいなあ!!」

トシが華音に抱きつくと。

「俺じゃない。紅美が言ったんだ。」

華音は鬱陶しそうにトシを突き飛ばして言った。

「え?紅美ちゃんが?」

「ああ。」

「…なんか…感激だな…」

トシは、いつになく神妙な顔。

「俺…あの時の事で、紅美ちゃんは笑ってくれても、一生許してはくれないかもって思ってたから…」

あの時の事…?

…ああ…華音のゴシップの事か…

「紅美はそんなのいちいち根に持たねーよ。海、休み入れられそうな日あるか?」

ふいに話を振られて、頭の中を整理する。

今の現場が片付けば…

俺がいなくても…

って。

俺はボスって立場なのに、最近休みを取りすぎる気がするぞ。

いいのか?

「ボスも週休二日でいいんじゃねーか?」

俺の考えが読めたのか、華音はそう言って野菜スティックを俺に向けた。

「…そうか。」

ついでに、向けられたままのキュウリを口にすると。

「食うのかよ。」

「食えって出してくれたのかと思って。」

「あっ、キリ!!俺にも!!」

「知るか!!」


あの朝は、沙都がいなくて。

トシと華音の殴り合いを止める奴がいなかったせいで、二人はいつまでもじゃれ合っていた。

…沙都は、紅美の所か?

なんて、勝手に思ってしまったが、紅美の所には沙也伽もいる。

でも…きっと二人は一緒にいた。


「ぼーっとして歩いてたら躓くぜ、おっさん。」

華音に肩を組まれた。

「誰がおっさんだ。」

「30過ぎると坂道転げ落ちるように歳食うって言うよな。」

「おまえもすぐにそうなる。」

「ははっ。」


…こんな時間が、もうすぐなくなる。

紅美が帰国するのはもちろん寂しいが…

それ以上に、仲間と別れるのを寂しく感じた。


「……」

「なんだ?」

華音がじっと見てる事に気付いて問いかけると。

「顔に寂しいって書いてあるぜ?」

華音はニヤニヤしながら言った。

「……」

悔しいけど図星だ。

と言いかけて…飲み込む。

俺も華音の肩に手を回して。

「寂しかねーよ。」

頭突きをした。

「あたっ!!」

「いつもやられてるお返しだ。」

手を離して歩き出すと。

「やったな~てめぇ!!」

華音が走って来て、俺の背中に飛び乗った。

「うわっ!!」

「このまま走れ。」

「バ…バカ言うな。」

「走らないとキスするぜ?」

「なっやめ…やめろー!!」


俺、何してんだろうな。

華音を背負って、走るとか…

まるで17歳ぐらいの気分だ。


「あははは。ノンくん、やめたげてー。おっさんにはキツイよー。」

紅美の笑い声が聞こえる。

「誰が…っ…おっさん…だ!!」

「あはは、息切れてるし。」


俺は学習した。

幸せな時間や楽しい時間が増えると、心が育つ。

だけど、その分…別れが辛くなる。


だけど…

恋人との別れとは違って…


友達とは離れても…


絆は続く。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. 45th 35

    09/27

    目を開けると、腕の中に咲華さ…咲華がいて。なんて…幸せな...

  2. 47th 20

    09/29

    親父の提案で咲華が席を外して、しばらくは沈黙が続いた。…...

  1. 40th 68

    09/04

    「…寝たな。」俺がそう言うと、ソファーにいた千里はガバッ...

  2. 「え。」俺と空は、同時に声を上げた。現場帰りの海と待...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

10/21 編集部Pick up!!

  1. 妻を家政婦扱いする夫に呆れた
  2. 彼氏にLINE誤爆され別れを告げた
  3. 無意識にマウンティングするかも

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3