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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/01 17:40:25

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ノンくんの料理と、うるさいぐらいの睡眠時間チェック。

処方された薬はちゃんと飲んでるし…

たった一週間なのに…体調はいいと思っても、どこか怠さが残ってた先週より、断然元気だ。


「おかげで、万全の体調で今日を迎える事が出来ました。」

ライヴ前。

ライヴハウスの自動販売機の前でノンくんを見付けて、後ろから声をかける。

「あ?」

「ありがとうございました。」

そう言って、ペコリと頭を下げると。

「まったく…手のかかる女だ。」

ノンくんはそう言うと。

「今日は頼んだぜ。」

あたしの肩をポンポンとして、歩いて行った。


「……」

ノンくんは…

オフが明けてからというもの、音楽以外の話をしない。

あ、体調管理の話はするけど。

あたしの事で、海くんと殴り合いしたり…

ちょっと気持ちがざわついたりしたのに。

あたしの事は、バンドメンバーとしてしか見てない。

そんな感じ。


…まあ、いいんだけどね。

今は、ほんとに…バンドの事に集中しなくちゃだし。

本当は延期になるかもしれなかったはずの、今日のライヴ。

頑張るしかない。


「あ、紅美ちゃん。ここにいたんだ。」

沙都の声がして振り返ると。

「今日、日本のビートランドにも中継入るんだって。」

目を細めた沙都が、小声でそう言った。

「えっ。」

「頑張らなくちゃって思ったけど…僕らは僕ららしく、楽しくやろうね。」

「……」

頑張るしかない。

そう思ってたとこに、沙都の『僕らは僕ららしく』が、響いた。

「…そうだね。楽しくやらなきゃ、伝わらないよね。」

本当は…

最近のノンくんとの距離感に戸惑いがあって。

楽しむ気持ちがよく分からない気がしてた。

だけど…

ダメじゃん、あたし。

あたしは、ノンくんのために歌ってるわけじゃないよ。


「…紅美ちゃん。」

あたしが黙ってると。

「ん?」

沙都はあたしの手を取って。

「僕、もうずっとワクワクが止まらない。」

あたしの目を見た。

「…沙都…」

「覚えてる?紅美ちゃんちのスタジオで、僕が初めてギターを弾いた日の事。」

「…懐かしいね。」


あれは…あたしが父さんに叱られて、スタジオに隠れてた時だった。

「紅美ちゃん、いる?」

部屋に居ないあたしを探しに来た沙都は、泣いてるあたしを見て。

「紅美ちゃん、聴いて。僕、おじいちゃんにギター習い始めたんだよ。」

あたしの練習用に置いてあったギターを手にして、あたしの苦手な『F』のコードを綺麗に弾いた。


「沙都があっさりFを弾くから、泣いてる場合じゃない!!って、あれからあたしの猛練習が始まったのよね。」

「僕はまだ、紅美ちゃんよりチビだったっけ。」

懐かしくて、笑い合う。

「僕はどこでだって、紅美ちゃんと弾いてればハッピーだよ。」

「沙都…」

沙都は握ってたあたしの手を引いて、そっとあたしを抱き寄せると。

「…ノンくん、厳しい言い方しかしてないけど、毎日栄養学の本読んだりさ…誰よりも紅美ちゃんの事心配してた。」

耳元で、そう言った。

「…え?」

あたしが沙都を見上げると。

「あ、違う。」

沙都は小さく笑って。

「誰よりもって事はないや。僕と同じか、僕の次ぐらいに…紅美ちゃんの事心配してた。」

そう言って、少しだけ…抱きしめた腕に力を入れた。

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