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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/01 16:18:57

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「ボス、耳栓入りますか?」

富樫が真顔で耳栓を差し出して来た。

今夜は…DANGERのデビューライヴ。

富樫と、今こっちに二ヶ月滞在中の志麻と、なぜかまた来てる親父と、トシとでやって来た。


「…聴かないつもりか?」

富樫の差し出したそれは、かなり強力なやつだ。

本部等で、わずかな時間で本気の睡眠をとる時のために使われる物。

「いえ…そうではありませんが、ライヴハウスは初めてと聞きましたので…」

「おまえは来たことがあるのか?」

「大学時代に付き合いで一度。」

「どうだった?」

「耳をやられました。」

「……」

それを聞いていた志麻が、少し笑いながら。

「実は私もライヴハウスは捜査で入った事しかないので、華音さんに耳栓の有無を聞いてみたら『侮辱か』と言われてしまいました。」

「……」

…何とも、残念な感じがする自分達に苦笑いをしてしまった。

親父は、そんなの要らない要らない。と余裕。

トシに関しては…

「俺は前に行くけど、初心者は後ろの方が耳に優しいと思う。じゃあな~。」

と、さっさと一人で前に行ってしまった。

…今日は俺の部下になると言ったクセに。


とは言っても、今夜はオフのつもりで、全員私服だ。

それでも気を抜けないのか…富樫も志麻も、常に周りに神経を張り巡らせている。


「入り口でしっかりボディチェックもあったし、心配するな。たまには楽しもう。」

俺が思っていた事を、親父が言ってくれた。

本当に…

こういう場所に『遊び』に来るとなると、二階堂で出来る人間も形無しだ。


間もなくして、会場の照明が落ちて…

流れていたBGMが少し大きめになって、それから消えた。

「始まりますね。」

富樫は緊張した面持ちで、耳栓はしていないが…少し右耳をかばうような体勢でステージに目をやった。


会場は、500人ぐらいの観客。

チケットは発売当日にソールドアウトと聞いた。

何がペーペーの新人だ。

期待されまくりの新人じゃないか。

ギターの音が聞こえたかと思うと…

次の瞬間、同時にドラムとベースが加わって、幕が落ちた。

「うわ…っ…」

至近距離にいた志麻から、声が漏れた。

いつもクールな志麻が、肩を揺らせたのが少し嬉しかった。

そうだろ。

俺も映像で見た時でさえ、そうなった。

て事で…

こうやって生で見て…

鳥肌が止まらない。


ギターをかき鳴らす紅美と華音。

そこにベースの沙都が加わって、客席に向かって体勢を落としてリズムを取る。

最前に、拳を振り上げているトシの姿が見えた。


紅美とは…さくらさんを送って行った空港以来会っていないが。

貧血の状態があまり良くならなかったらしく、華音がピリピリしていた。

「自分の健康管理もできねー女、最悪だ。」

なんて言いながら、紅美のために栄養バランスの整った料理をしては、晩飯前に届けていた。と、トシに聞いた。


紅美と華音がツインボーカルをしていたCDとは少し違って、ほぼ、紅美がメインで歌った。

だけど全然物足りなさは感じなかった。

むしろ、それに全員がコーラスで加わったり、華音が絡むように入り込む事で、CDよりも広がりを感じた。

音楽には詳しくないが…

それでも、成長し続けてる。と思わされた。


ステージの紅美は相変わらずキラキラとした目で。

それが…俺を笑顔にした。


…俺は、すっかり紅美のファンだな。



心から、そう思えた。

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