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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/01 12:09:26

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ノンくんが事務所に行った後、僕と沙也伽ちゃんと紅美ちゃんは、長い時間無言だった。

ライヴを楽しみにしてただけに、そこまで?って思ってしまう所もあるけど…

でも、紅美ちゃんの体が一番なのも当然で…

僕は、『紅美の体の事を考えて』って迷わず言ったノンくんに、少し嫉妬した。


だけどさ。

こんな決め方って…

紅美ちゃんを悪者にしてるみたいで、僕は納得いかない。


案の定、紅美ちゃんは僕と沙也伽ちゃんに。

「ごめんね…あたしのせいで…」

そうつぶやいて、部屋に入った。


僕が歩いて家に帰ると、ノンくんはまだ帰ってなくて。

「あれ?キリは?」

急なミーティングだったから、晩御飯の支度が出来ないって連絡すると、曽根さんが『任せとけ』って言ってくれて。

テーブルには…ピザが並んでる。


「事務所に行ったよ。」

「そっか。ニカも遅くなるみたいだし、先に二人で食べちゃおうぜ。」

「そうだね。」


気分が滅入ってて、本当は何も食べたくなかったけど。

ピザだけじゃあなあ…って、冷蔵庫を覗いて、サラダとスープも作った。


「…何かもめ事でもあった?」

さすがに曽根さんでも気付いた。

たぶん、僕の顔にはハッキリ書いてあったと思う。

『落ち込んでます』って。


「実は…ライヴが延期になるかもなんだ…」

肩を落として言うと。

「えっ!?もう来週なのに!?」

そう。

来週。

今週の始めにはライヴ告知もされて、10ドルというインディーズ並みの格安チケットは、瞬く間に完売した。

「紅美ちゃんの体調が万全じゃないから、やらないってノンくんが。」

「あー…」

曽根さんは眉毛を八の字にして。

「でもそれって、紅美ちゃんは責任感じちゃうよねえ…」

泣きそうな顔をしてくれた。

「…うん…もうすでに…」

二人で溜息をついてると…

「ま…それぐらいしないと、紅美は自覚しないだろうからな。」

いつの間に帰って来て、いつから話を聞いてたのか…

海くんがジャケットを脱ぎながら言った。

「うおっ…ニカ、いつからそこに?」

「声かけようとしたら、深刻そうだったから黙って聞いてた。」

「おかえり、海くん。」

「ただいま。」

海くんは手を洗って戻ってくると。

「紅美も辛いだろうけど、俺は決断した華音の方が辛いと思う。」

手を合わせて『いただきます』と小さく言って、ピザを取った。

「なんたって、三人から恨まれるし…事務所側からもどうにかしろって言われるだろうからな。」

「あ…」

本当だ…

ノンくん、そういうの、全部背負ってくれたんだ…


「いや、恨んではないけどさ…」

思い出したようにそう言うと。

「でも、納得いかないって思ってんだろ?」

さらりと言われてしまった。

「…うん…」

「ライヴが成功したら、きっと忙しさは続く。体調が悪いまま中途半端に続けるより、治療が先だな。」

「……」

ノンくんと海くんは大人だと思った。

僕は…

紅美ちゃんを守るって言いながら…

なんて小さいんだろう。


「…へこむなよ。」

僕の落ち込み具合に気付いた海くんが、背中を軽く叩いた。

…そうだ。

へこんでる場合じゃない。

「うん。ありがと、海くん。」


それから数分後…ノンくんが帰って来て。


「ライヴ、延期は無理だって言いやがった。」

低い声でそう言うと、罪のない椅子を蹴飛ばした。

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