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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/31 22:15:42

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「沙都、平気だってば。」

「平気じゃないよ。」

あたしは沙都の腕の中で少し暴れた。

だって…

立ちくらみなんて、本当に少しだったのに。

マイクスタンドに寄りかかろうとして、ちょっと足がもつれただけなのに。


沙都はあたしを抱えて医務室に。

誰もいなかったけど、沙都は迷いもせずあたしをベッドに降ろして。

「紅美ちゃん。」

あたしの顔の横に…手を置いて…あたしを見つめた。

「…何。」

「平気平気言わないで。」

「…だって」

「だってじゃないよ。本当は辛い事がいっぱいあって、体も心もボロボロになりながらここまで来て…」

「……」

「気を抜いたら倒れるって…自分で言い聞かせてたでしょ。」

「沙都…」

「もう…そんな時期は乗り越えたのかもしれないけどさ…僕、いつだって紅美ちゃんのそばにいて、紅美ちゃんの事支えたいって思ってるんだよ?」

「……」

「頼むから…甘えてよ…」

沙都はそう言って…

ゆっくりと、あたしの上に上半身を乗せた。

…懐かしい、沙都の香り。

沙都…なんで?

こんなの、反則だよ…


今は、全然辛くなんかない。

海くんとの事も…もう乗り越えられた。

ばあちゃんが帰国した時に会って以来…

もう、海くんには会ってないけど。

ノンくんと沙都が一緒にいるなら…海くんは大丈夫って思う。

それに、あたしも…。


「沙都…ありがと。」

「……」

「でも、本当…今は大丈夫なの。とにかく…来週のライヴに向けて、全力でやるしかないって思ってるぐらいで…」

沙都はゆっくりと体を起こすと。

「…紅美ちゃん。」

あたしの頬に触れた。

「…ん?」

「…何も心配ないよ。」

「……」

「僕、紅美ちゃんが安心して…楽しく歌えるように、ずっと頑張ってきたから。」

可愛い笑顔。

沙都…

本当…あんたって、あたしの癒しだ…

「僕は、僕のやり方で…紅美ちゃんを想い続けるし、大事にするよ。」

沙都はそう言うと、唇を近付けて…

…額にキスをした。


…あたし…今…

当然のように、唇に来ると思ってしまった。

もう、沙都とは何年も…寝てないし、そういう関係じゃなくなってるのに。

すごく自然に…受け入れようとしてた。

…何なの。

あたし…

何なのよ。


「…ごめん。付け込むとこだった。」

沙都が苦笑いする。

「なんで謝るの…」

あたしがそう言うと。

「…フェアでいたいからね…」

沙都はそう言って。

「だけど…やっぱり僕はズルい。」

一瞬…

あたしの唇に、キスをした。

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