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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/31 21:31:43

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こんな所で希世の叔父夫婦に会うなんて。

正直、渉さんの耳が心配だったけど。

曲が終わると渉さんは立ち上がって拍手をしてくれた。

その隣で、空さんは…

「か…」

腰が抜けたみたいになって、言葉も出て来ない。

「ははっ。たぶん、カッコいいって言いたいんだよな。」

渉さんの言葉に、コクコクと頷く空さん。

ふふっ。

嬉しいなあ。

「あ、失礼。」

携帯が鳴って、渉さんがスタジオを出て行った。

忙しい人なのに、あたし達の見学してくれるなんて、涙が出ちゃう。

はーっ…でも、今のはほんと…あたしもシビレたわ。

紅美とノンくん…

バッチリだったなあ。


「紅美ちゃん!?」

あたしがペダルの位置を直そうと下を向いた途端、沙都が叫んだ。

驚いて顔を上げると…

「紅美!?」

紅美が、沙都に支えられてる。

「あ…ごめん…平気。ちょっと立ちくらみ…」

「平気とかいうな。休め。」

ノンくんが椅子を出したけど…

「医務室で横になった方がいいよ。」

沙都はそう言ったかと思うと…

「…えっ…」

紅美が驚いた顔してる。

あたしもだよ。

ついでに…ノンくんと空さんも。

だって、沙都…

紅美をお姫様抱っこして、みんなが呆然としてる中、スタジオを出て行っちゃった…

「……」

「……」

「……」

三人で、開いたままのドアを見てると。

「あー、わりいわりい……って…え?何か…あったのか?」

渉さんが戻ってきた。

「…紅美が立ちくらみがしたとかって、沙都が抱えて医務室に連れてった。」

空さんがそう説明すると。

「立ちくらみ?あいつ…こっち来た時も貧血で入院してたよな。大丈夫なのか?」

渉さんが険しい顔して、誰にともなく言うと。

「…検査はちゃんと行ってるみたいっすよ。ちょっとテンション上げ気味でやったから、酸素が足りなくなったんじゃないっすかね。」

ノンくんが…何とも淡々と、低い声で答えた。

…あなた、おもしろくないんですね?

自分からは、ああしろこうしろって振るクセに。

いざ沙都が自分から動いたら…

おもしろくないんですね?


ノンくんは、置き去りにされた紅美のギターを片付け始めて。

空さんは、『紅美の様子見てくる』って、スタジオを出た。

…さて。

あたしは…?

どうする?

渉さんとノンくんを二人きりにして、渉さんがノンくんに本心を問いただす(渉さんは何も知らないと思うけど、何か期待)のを、コッソリ覗くとか…

それとも、空さんについて行って、医務室をコッソリ覗くか…

「……」

そして結局あたしは…

椅子とバスドラの間にしゃがんで、ペダルを直すフリして沈黙を守った。

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