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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/30 19:06:05

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「ただいまー。」

「あっ、沙也伽。おかえりー。」

翌日の午後、沙也伽が戻って来た。

あたしはドアまで沙也伽を出迎える。

相変わらずちっちゃいなあ。

って、あたしが大きいのか。

この小さい体で、あのダイナミックなドラムだもんね。

ほんと、沙也伽にはまいる。


「…どしたの、これ。」

沙也伽は向かいの部屋を覗いて、こっちに戻って。

「もぬけの殻なんだけど。」

手には、キャリーケースとダリアのショッパー。

顔は、少しマヌケになってる。

「なんか、急に引っ越してた。」

「は?どこへ?」

「それが、部屋のドアに『引っ越す。連絡を待て』って貼り紙がされてて、今朝『今から行く』って連絡があった。」

そう。

今朝、ノンくんから電話があった。

しかも…

『あー、俺。』

「…うん。」

『今から行く。んじゃなー。』

「えっ?」

プツッ。

お…

おおおおーい!!

勝手に引っ越した事とか、連絡して来なかった事とか…

謝れよーーーー!!


思い出して唇を尖らせてしまった。

ドサリとソファーに座る。

「…そっか…何なんだろうね。ところで…」

沙也伽はあたしの向かい側に座って。

「オフの間、先生と会った?」

前のめりになって言った。

…いきなりだな。

「…うん。会って…終わらせた。」

「…え?」

「終わった。ちゃんと、二人で笑ってバイバイってしたよ。」

沙也伽には、まだ好きだけど。とは言わなかった。

マキちゃんの所で色々話して…思った。

一緒に逃げちゃえば良かったのに。って言われて。

逃げれば良かったのかな。なんて思って。

だけど、こうして沙也伽の顔見たら…

逃げなくて良かった。って思うし…


結局、あたしって…

自分の気持ちがよく分かってないんだよ。

海くんを好きなのは確かだけど、全部を捨てる勇気はない。

海くんは…捨てる覚悟があるって言ってくれたのに。

あたしには…それがなかった。

…終わらせなきゃ、海くんに失礼だ。


ノンくんの事だって、あの告白を思い出すとドキドキするクセに…

…分かんない。

沙都は…

もしかしたらあたし…

今一番沙都に甘えたいって思ってるのかなあ…

昔から一番そばに居てくれて。

あたしの事…ずっと全力で心配して、甘やかしてくれてた。

……いや、ダメダメ。

頭をブンブン振る。


今は…誰ともそうならない。

決めたばっかじゃん。


「…廊下の電球の調子が悪いんだった。見てくる。」

あたしは沙也伽にそう言って、立ち上がった。


廊下に出て天井を見上げる。

…脚立か椅子か…

沙都なら簡単そうなんだけどなあ…

なんて考えてると。

「よーう。」

階段の下から、憎たらしいぐらい能天気な声が聞こえて来た。

「あっ!!もう!!ずっと連絡待ってたのに!!」

ノンくんと沙都を見下ろして怒鳴ると。

「貼り紙してただろ?」

ノンくんは『何怒ってる?』と言わんばかりの顔。

「連絡してってメールもしたのに。」

「ま、見ての通り変わりない。」

階段を上がって来たノンくんは、自分を見下ろしてそう言った。

「そうじゃなくて。心配してたのが分かんない?」

あたしが眉間にしわを寄せて言うと。

「…よしよし。」

頭を撫でられた。

「だーっ!!もう!!そうじゃなくて!!」

あたしが叩くふりをすると。

「ははっ。よー、沙也伽。久しぶりー。」

ノンくんは、あたしの肩を押して部屋に入って行った。

「紅美ちゃん、ごめんねー…」

続いて…久しぶりの沙都。

「あんたまで連絡くれないとは…」

唇を尖らせて言うと。

「ちょっと、色々あって…」

沙都は言葉を濁らせた。

…色々って何。

聞こうと思ったけど、やめた。

あたし、何でこんなにムキになってる?


「電球換えたいの。」

あたしが天井を指差すと。

「あ、僕やるよ。」

沙都は腕まくりをした。

「脚立いる?大きいのが倉庫にあったけど。」

「椅子で大丈夫かな。紅美ちゃん、ちょっと押さえてて。」

沙都はキッチンから椅子を一脚持って来ると、その上に立って手を伸ばした。

ここは天井が高い。

のっぽの沙都が、椅子で背伸びしてるぐらいだから、あたしだと届かなかったな…。


「はい。出来た。」

「ありがと。助かった。」

「切れたやつ、保管庫の箱に入れとくね。」

「あんた…気が利くいい男だよ。」

あたしが沙都の頭を撫でると。

「へへっ。勉強以外なら、紅美ちゃんに褒められる事多いのになあ。」

沙都は、そう言って嬉しそうな顔をした。

そうは言っても…

あの勉強嫌いだった沙都は、日本でデビュー以降…英語を猛勉強した。

高原さんが『頭が悪い奴は嫌いだ』と事務所のあちこちで言ってたからなのもあるんだろうけど…

ミュージシャンなら。

海外進出は夢見るしね。

音楽以外では集中力のなさを発揮しまくってた沙都だけど、本当に頑張って『やれば出来る子』なのを見せ付けた。


「よし。ミーティングするぞ。」

ノンくんがそう言って、あたし達はリビングに集まる。

ああ…久しぶりだ。

あの緊張感の中に戻れる。


今のあたしには…

歌う事。

それが…一番だ。

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