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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/30 16:19:39

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「逃げちゃえば良かったのに。」

マキちゃんは、上目使いであたしを見ながら言った。

「え?」

「逃げちゃえば良かったのよ。」

「…そうはいかないよ。あたし達…デビューするためにこっちに来て…みんなですごく悩みながら…」

「それは、口実。」

「……」

マキちゃんの強い声に…あたしは何も言えなくなった。

「海くんが全部捨てるって言うなら、紅美ちゃんも捨てられたはずよ?だけど捨てられなかったのは…」

「……」

「紅美ちゃんの中では、もう終わってたか…」

「…か?」

「もう、誰か気になる人がいるか。」

「ない。」

あたしは背もたれに寄りかかって即答。

…だけど。

チクチクした。


マキちゃんが言ってる事は…

当たってるの…?


『愛してる。』

こんな時なのに…

『あずき』で、ノンくんにそう言われたのを思い出した。

あの時のノンくん…

ちょっと、見た事ないような表情で…

ドキドキしたな…

いい声だったし…

でも、曽根さんがいて。

…笑うしかなかった。


「…赤くなってるけど、今、誰の事考えてる?」

「は…え…ええっ?」

「赤くなってる。」

「……」

マキちゃんは…

なんて言うか…

男と女の世界で仕事をしていたからか…

こういう、色恋的な話になると…


鋭い。


あたしは小さく溜息をつくと。

「…あたし、海くんの事、今も好きだよ。」

真剣に言った。

「うん。」

「誰かと誰かを比べるとかじゃなくて…あの人は本当に…あたしの中ではお日様みたいで、お守りみたいな存在って言うか…」

「うんうん。」

「だけど…今思い出してたのは…」

あたしはテレビ画面に向かって。

「…ノンくんの事。」

ノンくんの顔を見た。

「こっちのイトコ?」

「うん。」

「あたし、海くんと最初に別れた後…壊れかけてた。」

マキちゃんはあたしのカップに二杯目の紅茶を入れてくれた。

「誰でも良かった。そこにいたのがノンくんで…振り回されてる気がして落ち着かなかったけど、今思うと…彼はすごく…んー…やっぱり…よく分からない人なんだけどさ。」

「彼は紅美ちゃんの事、好きなの?」

「…一瞬付き合うみたいになって、だけどやっぱりあたしは無理って離れて…それでも仕事仲間として、今まで通りに接してくれて…」

「…いい人ね。」

「うん…その、仕事仲間として…の時に、一度ハッキリ…愛してるって告白された。」

「…海くんは、お日様でお守り。彼は?紅美ちゃんの中で、どんな存在なの?」

「……」

考えた事もなかったな…

あたしの心の中には、ずっと海くんがいたし。

誰かが入って来るなんて思わなかったから…

だけど。

もし、ノンくんがいるとしたら…


…ふと。

地下鉄での事を思い出した。

ノンくん、なんで…あそこにいたのかな。

あたしに呼ばれてる気がしたとか何とか言ってたけど…

「…守られてるなって思う。」

「……」

「守られてる…」

あたしのつぶやきを聞いたマキちゃんは。

「その、『ノンくん』がいたから、終わらせられたんじゃないかな。」

笑顔になった。

「…え?」

「あたし、紅美ちゃんが、もし海くんと逃げてたとしても…きっと、その『ノンくん』は守ってくれたと思うな。」

「……」

「まあ、まだ分からないわね。沙都坊も巻き返してくるかもしれないし。」

マキちゃんはそう言って一時停止のボタンを押して、映像を再生させた。

「…楽しんでる?」

「えー?だって、紅美ちゃんを射止めるのが誰か、楽しみだもん。」

「……」

「あー、悩んじゃうなあ。海くんもいいけど、ノンくんもいいし、沙都坊も捨てがたい。」

マキちゃんは楽しんでる風じゃなく、本当に真面目にそう言った。

それを聞いたあたしは、ポリポリと頭をかいて。

「しばらく恋はいいよ…」

低い声で言った。


…うん。

しばらくは、DANGERだけで。

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