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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/29 08:59:25

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二人のオフは、あと二日。

て事は、俺のオフもあと二日。

最初はあんなに嫌だったのに…

今では、あと二日しかないのか。などと思えてしまう。


夜通しポーカーをして、疲れた俺はソファーで眠った。

いつもは警戒しまくってるはずなのに…

周りにマスコットのような物を並べて写真を撮られて、今朝それを見せられた時は泣くほど笑った。


たった一日…仕事から離れただけなのに。

今までも、そんな事はあったのに。

何とも…今の俺は、恐ろしく自由な気がした。

これがオフのスイッチって事か?

仕事の事が…全く気にならない。

…それはそれで問題な気がするんだが。

まあ…今はしっかり休もう。



「わりーけど、ちょっとだけ留守番してもらってていいか?」

ハナオトがそう言ったのは、ブランチを食った後だった。

「ああ。構わない。」

「んじゃ、沙都。行くぞ。」

「海くん、よろしくねー。行ってきまーす。」

「おう。」


二人が出かけて…本当は少しつまらない。

何なら俺も一緒に出掛けたかった。などと思った。


…さて…

何をしてみよう?

家の事は、ハナオトと沙都がテキパキとこなしてしまうがために、なかなか俺の腕は見せ所が来ない。

…まあ、あの二人に勝てるような見せ所もないのだが。


ソファーに横になってみたものの…

一人でのそれはつまらない。


…もしかして、あいつら…紅美のとこに行ったのかな。

急に引っ越したって言ってたし。


紅美…

歌ってる紅美は…本当に…眩しかった。

さくらさんは垣根を越えろと言ったが…

やはり…紅美との将来は望めない。

あの目の輝きを、奪いたくない。


コンコンコン

ノックが聞こえて、俺はソファーから起き上がると玄関に向かった。

今までなら、もっと警戒していたであろう自分に。

少し笑いが出た。


「どちら様ですか?」

ドアの外に声をかけると。

『早乙女です。』

「…え?」

その声に…

俺の心臓は、跳ね上がった。


「や。元気かい?」

ドアを開けると、そこには笑顔の早乙女さん。

「…は…はい…」

え…えーと…

なぜ…?

なぜ早乙女さんがここに…?


「あ、どうぞ…」

「お邪魔します。」

早乙女さんは家に入ると。

「へー…ここが親父が住んでた家か…」

小さくつぶやいた。

「え?」

「さくらさんに聞いたんだ。昔、丹野さんと、うちの親父と一緒に暮らしてたって。」

早乙女さんはそう言って、家の中をウロウロと歩いた。

『うちの親父』…

えーと…

それは、浅井晋さんの事を言ってる…んだよな?

親父…って呼んでたんだ…?


「お茶でも入れましょうか。」

「あー、ビールがいいかな。」

「…ビール?」

「飲もう。一緒に。」

「……」

変な気分だった。

つい先日親父と飲んで…

今日は…早乙女さんと…?


俺達は外にあるベンチで、乾杯をした。

二人で並んで、穏やかな陽射しにどことなく笑顔になった。


「いつだったか…電話、ありがとう。」

「え?」

「園と泉ちゃんの事で。」

「あ…ああ、あれですか。結局実りませんでしたけどね。」

「ま、泉ちゃんも園も幸せになってるみたいだから、それはそれで。」

早乙女さんを見る。

長い黒髪。

丸いメガネ。

ビールを持つ手の指は…しなやかで長い。


「俺は、早乙女の父の事は『父さん』って呼んで、浅井晋の事は『親父』って呼んでる。」

ふいに早乙女さんがそう言って笑った。

「……」

これは…

自分もそう呼べ…と?

「親父とは…バンドで渡米した時に、一緒に暮らしたんだ。」

「え…?」

「しかも、あれが初対面だった。」

「……」


早乙女さんは…

浅井晋さんとの思い出を話してくれた。

お互い、親子と言うよりは同士と言うか、友達のようだった、と。

一晩中一緒にギターを弾いたり、恋愛の話に花を咲かせたり。

その話は…どれもすごく優しかった。


どうしても、親父とは仕事や二階堂の仲間、家族の話が中心になる。

それは当然だし、その会話に不満もないし、何より俺は親父を尊敬してやまない。


だけど…

早乙女さんとの会話は…

俺を何とも言えない気持ちにした。

今まで自分を苦しめていた罪悪感。

なぜ…あんなに意識して自分の首を絞めていたんだろう。

そんな気持ちになった。

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